第6章 流されて異界
第120話 決着
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い少女が静かに佇んで居た。ここまでの流れは、彼女の望んだ物ではなかったと思う。しかし、状況は望んだ結果を得られる可能性が残っている状況。
故に、この笑顔、なのだと思う。
続いて一塁。俺よりも少し濃い蒼の瞳と髪の毛を持つ少女と視線を合わせる。頑張れ。口の動きだけで激励の言葉を送って来る朝倉さん。
ここで打たなくては、この二人の期待に応える事は出来ない。
そして――
二塁ベース上には胸の前で腕を組んだ長い髪の毛の少女がコチラを睨んでいる。もう言葉を聞く必要はない。打たなければ俺は死刑だ。
「やれやれ。一体、何処の何方がこんなシナリオを書いたのかね」
バッターボックス内に入った俺に対して、薄いため息と共に話し掛けて来る九組のエース、自称リチャードくん。但し、俺の見鬼で見つめても、ヤツと、そしてそのリチャードと言う名前の間には違和感しか発生しない。
これはおそらく、そのリチャードと言う名前自体が、ヤツの本名ではない、そう言う事。
ただ――
シナリオか。俺の方も軽くため息。おそらく、このシナリオを書いた一人は今、二塁々上でこちらを睨んでいる少女。但し、こいつは無意識の内に世界に影響を与えたのだと思う。
それに、九組の留学生二人も間違いなくこのシナリオを書いた存在。
但し、ヤツラのシナリオだと、この結末は俺たちに取って不幸な結末しか用意されていないはず。おそらく、ヤツラの目的はこの試合の結果などではなく、ここを踏み台にしてもう一度、この世界に混乱をもたらせる事。
魔が何を騒ごうと無視をするのが一番。人はパンのみにて生きる非ず。もしくは菩提樹の元であの御方が悟りを開く直前にも、似たようなヤツが現われたらしい。
どちらも世俗に染まり過ぎた俺には関係のない御方ばかりですが、それでも先人の智慧と言うのは活かして行くべきでしょう。
悟りの境地とは正反対……常に迷いの森の住人状態の俺ですが、それでもここの選択肢は一択。そう判断して、自然な仕草で所定のルーティンを行う。
「おいおい、忍さんよ。おまえさんまでガン無視かい?」
どうやら、このマウンドの上に居るヤツは俺と同じタイプ。無駄口の海で溺れ死ぬタイプの存在らしい事は分かりましたが――
何時も通り、余計な力の入っていない自然なフォームで投球を待つ姿勢の俺。ゆっくりと振り被る自称リチャード。
その瞬間!
俺の左横で人の動く気配。
振り被った時の勢いそのままに、山なりの球が投じられる。ボールの回転も普通。小学生同士のキャッチボール程度の威力の球が立ち上がったキャッチャーのミットに納まった。
……って、おい!
「ちょっと、ピッチャー! この場面で敬遠ってどう言う事よ!」
しかし、俺が口にする
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