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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第120話 決着
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、かなり真面目な表情。

 何の考えが有るのか……。いや、朝倉さんが気にしているのは俺ではない。おそらく、俺の右隣で野球の試合になど興味がない、……とばかりに自らの膝の上に開いた文庫本に視線を上下させている少女についてだけ。
 朝倉さんに取っての俺は、その文学少女の付属品程度の存在感しかないはず。

「弓月さんに関しては、何故、この文芸部に居るのか意味が判らない娘なんですよね」

 他の個性が強いメンバーに比べると彼女だけは浮いて見える。
 自らの事は棚に上げてそう話しを続ける朝倉さん。おそらく、今、彼女が文芸部に所属している表向きの理由は暴走気味の涼宮ハルヒを止める為に所属している、と言う理由。
 裏側の理由は友人の長門有希が気に成るから。むしろ、心配している、というべきですか。

 但し、今年の七月七日までの彼女の存在理由は、涼宮ハルヒの監視任務だったはずですが。

「最初は涼宮さんの強引な勧誘に対して断り切れずに、……って言う、朝比奈さんと同じ状況なのかな、と思っていたんですけど」

 でも、あの運動能力を見ると、どう考えても運動部に入った方が良いと思いますし。
 朝倉さんと比べても、見た目で言うのなら甲乙付け難い存在。あまり認知されていないとは思いますが、この文芸部兼SOS団所属の女生徒の中では朝比奈さんに次ぐ破壊力を持った武器(バスト)を持って居るのは弓月さん。
 性格的に地味で、あまり出しゃばって来る事は有りませんが、話し掛ければちゃんと答えは返って来るので、厭世的と言う訳でもない。

 確かに、文芸部に関してなら未だしも、SOS団に関して弓月さんの存在は謎、……と言えば謎なのですが。
 但し――

 この長門有希が暮らして来た世界は、今年の七月七日以前と、それ以後とでは世界自体の在り様が変わって居ます。その際にそれ以前の歴史の不都合な部分……改善された部分は余り違和感を覚えない形で改竄が行われたはず。
 特にそのSOS団結成の経緯や、初期メンバーの勧誘方法などは、歴史改変の原因に直結する可能性のある微妙な部分。

 つまり、現在の弓月桜と言う少女の存在が文芸部兼SOS団に取って少し違和感がある存在だったとしても、七月七日以前の世界に於いては何ら違和感を発生させない存在だった可能性がある、……と言う事。
 例えば、相馬さつきは明らかに関東の相馬家。彼らの言葉を完全に信用するのなら、彼らは相馬太郎良門に端を発する家柄。其の家から、世界に混乱をもたらせる可能性のあった涼宮ハルヒと言う妖異を監視する為に送り込まれた術者だった。

 但し、現在のハルヒは三年前の歴史改変の結果、其処まで危険視しなければならない存在ではなくなっている。おそらく、今の彼女は世界を破壊して、新しい、クトゥルフの邪神の暮ら
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