第6章 流されて異界
第120話 決着
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かっていたからキャッチャーは対処出来たと言う事。
「あぁ、ひとつぶつけられているから、投げる前から警戒していた」
事実をありのまま言葉にする俺。そもそも、信用に足る相手などではない。まして、何を考えて居るのかさっぱり分からない自称ランディくんと比べて、コイツは非常に分かり易い相手。
どうせ歩かせるのなら、敬遠だろうが、ビーンボールだろうが一緒だ、と考える可能性がある、……と理解して置いたのなら、頭部を狙われたとしても躱すのは容易い。
「ピッチャー。次に頭部付近にボールを投げたなら、即時退場とする」
どうやら真面な審判らしき体育教師がそう警告を行った。流石に一発退場とするには根拠に乏しいと判断したのでしょう。
どちらにしても状況は悪くはない。少なくとも偏った判定が続いた頃と比べると雲泥の差。
軽く肩を竦めて見せる自称リチャードくん。表情は心外だ、と言うかなり不満が有るような表情を装っているけど……。どう考えても人間の振りをしているのは有希や万結ではなく、コイツらの方。
何にしても――
タイムを掛け打席を外す俺。そして、ネクストバッターズサークルにちょこんと座る紫髪の少女と、一塁側のベンチでパイプ椅子に浅く座る蒼髪の少女に視線を送る。
ふたりとも表情は無。但し、彼女らの視線はすべて俺に向けられている。
「後の事は頼む」
状況はノーストライク・スリーボール。キャッチャーは立ったまま。ここから考えると、この流れから一転、勝負をする……と言う選択肢は考えられない。まして、ビーンボール紛いの球を投げて来たのも俺が踏み込んで打ちに来る事を防ぐ意味。
当然、そんな普通の人間に投げられる程度の球を躱し切れず、死球となったとしても問題なし、と判断しての投球だった事は間違いないでしょう。
俺の言葉に間髪入れず首肯く万結。対して、一瞬、俺の瞳を見つめた後、小さく首肯く有希。
少しの苦笑。有希は未だ俺の手で試合が決せられる事を望んでいる、と言う事なのでしょう。
「それにな、ハルヒ」
ゆっくりと振り被りながら、セカンドランナーに対して話し掛ける自称リチャードくん。
俺の心は無に。来る球は分かっている。後は――
「長門や、その後ろの人形を打ち取った方が、ヤツにはダメージになる」
あのふたりはアキレスのかかと。
「アイツに害が及ぶのが分かって居て尚、自らの能力が及ばなかった事をふたりが後悔し続ける事になるからな!」
大きく振り被り、ゆっくりとモーションから投じられた一球。それは、それまでの三球とは球威が違う。伸びが違う。
そして籠められた魔力が違った。
黒い一閃となって目線の高さを進み来る直球。コースは間違いなくボール。球速は間違いなくこの
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