第6章 流されて異界
第120話 決着
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間さえも自在に操る事が出来るまで能力を高めた術者のみが辿りつける境地。
既にアガレスを起動状態にしてある俺に取って、表の世界のトップアスリートが投じるレベルのスピードボールを躱す事など児戯に等しい。
それに、今回の攻撃は絶対に回避しなければならない理由が存在する。
それは第二打席以降、俺や有希たちには物理反射の仙術が行使されている。ここでもし、俺の頭に再び投球がぶつけられるような事が起これば、その被害はすべて投げた本人。自称リチャードに返される事となる。
確かに、俺に何らかの術や攻撃を反射する手段がある事は、既にヤツラも気付いて居る可能性が高い。しかし、気付いていない可能性も存在する。
まして、六組の応援団の連中にしてみれば、俺が死球で倒れるのなら理解出来るが、それを投じた自称リチャード自身が倒れるのは理解出来ないはず。
そして何より、クトゥルフの邪神が人間に転生して来た場合は、通常の人間を殺す手段で倒す事が出来るのだ。プロ野球の投手が投じるレベルの硬球を、何の防御もしていない頭部に受けると言う事は……普通の人間ならば死に至る危険性もある。
まぁ、それだけならば問題はない。邪神の分身が一体、この世界から消えるだけ。元々、そのような人物は存在していなかった以上、歴史は正しい形で修正される事となるだけ。
但し、古の狂った書物の内容を信用するのならば、その際に本性――忌まわしき邪神の姿を現す危険性がある、と記されている。この日本の兵庫県西宮市のど真ん中で……。
邪と謂えどもヤツは神。そんなモノがこんなトコロで顕現すると、どんな結果が待って居るのか、正直に言って考えたくはない。
俺の体感的に言うと、非常にゆっくりとしたスピードで接近して来るボールをワザと紙一重に成るようなタイミングで躱す俺。その一瞬前まで俺の頭が有った場所を通過して行くボール。
そしてそのまま、キャッチャーのミットへと吸い込まれて行った。
今度は体勢さえ乱す事もなく、立った状態のままボールを躱した俺。おそらく、ギャラリーは俺がボールを躱した事にさえ気付けなかったでしょう。あまりにも素早い動きで有った為に、一般人の瞳では見る事さえ出来なかったはずですから。
「悪い、悪い。打たれたらマズイモンで、つい力が入り過ぎて仕舞ったぜ。大丈夫だったか?」
俺の耳で聞くと普段からコイツの言葉に感情が籠っていない、空っぽの言葉しか聞こえて来ない相手なのですが、今回はそれに芝居がかった雰囲気まで上乗せした言葉で問い掛けて来る自称リチャードくん。そもそも力んでバッターの顔の部分を通過した球を、キャッチャーがあっさりキャッチ出来る事の方がウソ臭い。
これはサインプレイ。俺の頭の辺りにボールを投げる、と言う事が分
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