第6章 流されて異界
第120話 決着
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「あの、武神さん」
九回の表、最後のバッターとなった五番を軽く三振に斬った後、意気揚々とマウンドを降りて行く俺。
その俺に対して、少し躊躇い勝ちに後ろから声を掛けて来る女声。俺に声を掛けて来るのは基本的に親しみ易い声の朝倉さんか、何時も何故か不機嫌な雰囲気のハルヒと相場が決まって居たのですが、今回に限っては若い女性特有の甘い声。
ちなみに、文芸部兼SOS団所属の女の子の中で、一番女の子らしく声が甘いのは朝比奈さん。彼女は声以外……例えば見た目なども甘ったるい雰囲気をバンバン発生させて居ます。有希と万結は氷点下の冷たさ。声は聞き取り難く、更に木で鼻を括ったかのような対応をするので非常に取っ付き辛い。さつきも同じように冷たい対応、及び声をしているけど、彼女の場合は冷たい振りをしているだけ。少しつつけばすぐに馬脚を現して、私があたしと言う発音に成ります。
ハルヒは機嫌が良い時はアレですが、悪いと……。躁鬱が激しくてどうにも付き合い難い。
朝倉さんは俺の事を異性……少なくとも恋愛対象としては見ていないようなので、余所行きの声で話し掛けて来た事は一度もない。
こうして改めて考えてみると、朝比奈さんと弓月さんのふたりだけが俺の事を恋愛対象……と言うか、異性として見てくれる可能性がある、と言う事なのでしょうか。
「何かな、弓月さん」
同じ文芸部及びクラスに籍を置きながらも、これまでの学生としての日常の中で、まったく接点のなかった相手。ただ、俺の感覚からすると、別に忌避するような相手では有りません。確かに美少女であるのは事実ですが、木を隠すのなら森の中へ、の例え話の如く、有希たちの中に混じると途端に目立たなくなる少女ですから。
総合的に見て、付き合い易さなら朝倉さん。但し、大半の男子生徒は軽くあしらわれているだけ。女性として見るなら色々とガードが甘い朝比奈さん。人付き合いが苦手だけど、見ているだけならハルヒやさつきはとびっきり……と言う形容詞が付く美少女。会話が一切成立せず、ほとんど教室のオプションと化している有希や万結は……発見するのに苦労するかも知れないけど、本人たちの容姿は人外のソレ。
この連中に比べると付き合い難い……何と言うか、非常に暗い雰囲気を纏って居て、少しおどおどした感じがする少女。見た目も現実に存在しているレベルの美少女では――
まして、チョッカイを掛けようにもバックに涼宮ハルヒ以下の良く分からない連中が居るので、イマイチ近付き難い、……と言う感じが強い。
少し歩調を緩めた俺に追い付き、俺の左側で肩を並べて歩き始める弓月さん。その彼女の右手には、彼女の長い髪の毛を纏めていたリボンが――
「すみませんが、最終回の攻撃が始まる前に、このリボンを結び直してくれませんか?」
気合い
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