六十四話:赤龍神帝
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すると彼は砕けた兜の下から覗かせた唇をニッと吊り上げる。
彼は最初から相手が決して逃げられないこの状況を狙っていたのである。
驚くビズリーをよそにガコン、という音と共に鎧が変形していき胸の部分にポッカリと穴が空き発射口が現れる。
「まさか、貴様っ!? この距離で放つ気か! お前もただではすまんぞ!」
「へへへ……こうでもしなきゃ、あんたには届かないだろ?」
発射口が赫く輝き、神聖な赫いオーラが迸っていく。ビズリーは流石にこれを食らえばただでは済まないと直感し、逃げようとするがイッセーは決してその腕を離さない。
自爆覚悟の決死の攻撃は止まらない。
だがそこで、無情にもタイムリミットが訪れる。しかし―――
『相棒! これ以上は限界―――』
「なあ、ドライグ。限界っていうのは―――超えるためにあるんだろ」
イッセーは限界をたったの五秒超えた。だが、その五秒で十分だった。
胸についた発射口に宿るオーラが一点に集中され遂に―――放たれる。
『Longinus Smasher!!』
瞬間、世界の全てが赫色に染まる。
全てを赫が呑み尽し、食らい尽す。
まるで、そこには赫以外の全ての存在を許さないとばかりに。
ルドガー達はその凄まじさ故に地に伏せて爆風から逃れていたが攻撃が終わったことを確認するとイッセーが居た場所に駆け寄る。
「イッセー、大丈夫か!」
ルドガー達が駆け寄ってみるとそこにはイッセーと、少し離れたところにビズリーが骸殻を解いた状態で物一つ言わずに倒れていた。
死んだのかと思って慌てて呼びかけてみると弱々しい瞬きと共にその目が開かれる。
そして、掠れた声で笑いながらルドガー達に話しかける。
「はは…やって…やったぜ……」
「お前は無茶し過ぎだ」
「お前には…言われたくねえよ……ルドガー」
イッセーは生きていた。そして肉体的にはお世辞にも健康とは言い難い状況だがしっかりと笑い、成し遂げたという満足感を抱いていた。
ルドガー達はその姿に呆れた顔をしながらもホッとして当初の目的であったビズリーの時計の破壊を試みる。
黄金の懐中時計はビズリーから人一人分程離れたところに落ちており、ルドガーがそこに歩いていき剣を振り下ろして時計を破壊する。
それに反応するようにビズリーが目を醒ます。そして状況を確認して自身が敗北したことを悟る。
「見事だな……赤龍帝」
「俺…だけじゃねえよ……みんなの…おかげだ」
ゆっくりとではあるがしっかりと立ち上がるビズリーにイッセーは得意げに笑いかける。
他の者達は油断せずに構えるが骸殻状態でないなら倒せると希望を顔に浮かばせる。
「まさか……この私が―――」
ビズリーは目
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