case.3 「歩道橋の女」
X 9.12.am8:28
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だったよ…。あまりにも血で…うぅっ…」
松山さんは、暫く洗面台から動けそうにないな…。
そうしているうちに、田邊がインターネットで何かを見つけたようで俺を呼んだ。
「先生、恐らくこれじゃないかと…。」
俺は田邊に寄り、一緒にその画面を見た。そこには以前見たサイトとは違い、どうやら海外サイトのようだった。
そこに書かれていた文字はほぼドイツ語であり、一部にはラテン語が使われていたのだ。そして、その画面右に、一つの絵が掲載されていた。
それは佐藤神父が五つの方角へ施した印と同じものであり、下にはどういうものかの記載があった。
「魔封じの紋章…。」
これを、魔を中心に五つの方角へと書き記し、中心の魔の行動を封じ込めるのだと書いてある。
結界と言えば結界だが、これは少し違うようだ。
ここには正確なやり方が書いてあるが、まず、正五角形になる位置を定め、この印を聖句と共に書く。そうして後、中心の魔を宝玉へと封印するというものだ。
佐藤神父の行ったことは、この半分だけしかやってなかったことになる…。
「しかし、先生。この図形は、中心へと五芒星の頭を向けるよう指示がありますが、佐藤神父の書いたものは…」
「分かってる。佐藤神父が描いたものは…逆だ…。おっと、説明の続きが下に…。」
俺がそう言って続きを出すと、それを読んで田邊共々顔色を変えざるを得なかった。
そこには、こう書かれていたのだ。
- 封印を解くには、人の心臓より滴る鮮血にて印を汚さなくてはならない。 -
「田邊君、出掛ける支度を。それと、正午までに歩道橋から正確に五角形になる位置を特定しておいてくれ。」
それを読んだ俺は、直ちに行動を開始すべく田邊に指示をだした。
「まさか…。先生、それはかなりリスクを伴う…」
「論じている暇はない!このままだと、今夜にも新たな犠牲者が出る。」
「分かりました。しかし…先生、音はどうするつもりですか?」
俺も今、それを考えているところだった。
俺はエクソシストでも霊能力者でもない。だから、佐藤神父と同じような手は使えないのだ。音楽無しでは、到底太刀打ち出来ない。
ではどうする?この街の地理に疎い俺では、そうそう名案は浮かんでこないと言うのに…。
「福音教会、桜町カトリック教会、善照寺、篠原音楽堂、草織神社。あの歩道橋から見て、これが完全に五つの方角になる。」
俺が思案していた時、突然松山さんが話し始めた。
「元々、あの歩道橋の下には小さな祠があったんだが、それを草織神社へと移した。そして、五つの場所を結ぶ通路として、あの歩道橋と新たな道路を作ったそうだ。だがな、当初はそれが国道として使われる予定だったが、変更されて一つ前の道を拡大して国道としたそうだぜ…。」
松山さんは未だ青い顔をし
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