case.3 「歩道橋の女」
V 同日 am10:43
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「松山さん。他殺としては全く調査されなかったんですか?」
「ああ、それは俺も不思議に思ったんだが…全く記録がない。自殺と事故死でしか調査はされなかったようだ。」
やはり…この調書はおかしい…。松山さんに聞いた限りでは、まるで小学生が書いた出来の悪い自由研究のような酷い出来だ…。
そうして俺は、松山さんにこう質問したのだった。
「例えば…ですよ?そこに相手がいて突き落とした場合、どうなると予想出来ますか?それもわざと殺す目的で…。」
電話の向こうで松山さんは、その口を閉ざして何も言わなくなってしまった。
それもそうだろう。もし仮に、この事件を自殺ないし事故死にしてしまいたいと思うのなら、それを出来たのは警察関係者…それも調査した本人にしか出来ないことになる。
そうでないと不自然だからだ。
田子倉という女性の亡くなり方は、あまりにも他殺と認められる点が多過ぎるのだから…。
「松山さん。私達はこれからまた、あの歩道橋へと行こうかと思っています。松山さんも来られますか?」
「ああ、直ぐに向かう…。」
そうして松山さんとの会話は終了した。
俺がポケットにケータイを仕舞うと、黙ったまま話を聞いていた田邊が口を開いた。
「先生、どういうことですか?十数年も前に殺された女性は、事故死ではなく他殺だと?」
「恐らく…な。」
俺は田邊の問いにそう答えると、先を急ぐべく歩き出した。
「あ、先生!待ってくださいよ!」
足早に先を急ぐ俺に置いて行かれないよう、田邊も早足で俺の後ろを追い掛けてきたのだった。
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