暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
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いることに他ならない。
つまるところ、敵に銃口を押し付ける行為というのは、実害はあっても利益のないものなのである。
よって、後頭部に押し付けられていた銃口の射線から身体をひねりながら逃れ、太腿に装備していた小型のホルスターから、底が抜けている隠しポケットを経由して滑らかに抜き取られたシグザウエルの銃口が振り向きざま現れた時に、見様によっては少女にも見える少年は、その美しい碧眼をいっぱいに見開いた状態で固まったままだった。
無論、現実とは違ってGGOでのハンドガンから放たれる弾丸の威力は、仮にクリティカルポイントである頭部や胸部を直撃しても一撃死はないだろう。
だが、撃たれたことによって発生する反動エネルギーは存在する。散弾銃ほどではないが、一瞬の空白が生まれる
仰け反り
(
ディレイ
)
は、屋内戦特有の極短距離間での銃撃では致命的なものとなる。
「死――――ッッ!」
瞬間。
発砲音。
トリガーを引くために動かした指が、反応を返さなかった。
否、腕そのものがもはや、腕ではなかった。
穴。
構えた手が握るザウエルの銃口を粉砕しながら貫き、延直線状にあった右腕をザクロのように左右に引き裂き、さらにその先にある胸部に大穴を開けた――――穴。
否、弾痕。
「…………ぇ。あ……ぁ」
視界の左上に据えられたHPバーが急激に減少していくのが分かる。
少年が左腕で抱えるように危なっかしく持っているのは、薄く硝煙を燻らせるフェザーライト。そして右に持っているのは――――
折れ曲がった鉄パイプ。
―――あ。
女性の脳裏でカチリと歯車が噛みあったような音が響く。
―――ああ。
まず大前提として、このフィールドは荒廃したビル群が立ち並ぶ廃都だ。だとしたら無論、工事の途中みたいにその辺りに
鉄パイプ
(
あんなもの
)
が転がっていても、別段変なこともないだろう。
―――ああああぁぁぁああああぁぁぁぁぁぁぁっっっっッッッッッッッ!!!!!!!
「にはは、悪いねおねーさん」
数瞬前まで後頭部に押し付けていた鉄パイプを適当に放り投げ、今度こそ――――今度こそ脳天にゴツリと銃口を接触させた。
「意外と面白かったよ」
最後に見たのは、全てを吸い込むような銃口内の虚無。
何度目かの発砲音が、呆然とする天峨の脳内を抉った。
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