第5章 極寒の雪原の中で ~ローゼンリッターの意地~
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った。
この手榴弾1個で軽く10人はあの世行きにできる代物だ。
少尉はそれに転がっていた安全ピンを差し込むなり、工兵小隊の爆破物回収ボックスにそれを突っ込んだ。
ちなみにその死体は、基地司令官マーテル大佐であった。
自決したようだ。
リンツ中尉は
「この勇敢なる司令官に敬礼!」
といって、遺体に向かって敬礼をした。
その場にいた全員が、敬礼をした。
ちなみにこのマーテル大佐であるが、私の亡父エルビィン・フォン・シュナイダー帝国軍准将の元部下で、大佐がまだ少佐であった時に父の参謀将校を務めていたそうだ。
父が反逆の濡れ衣をかけられたのにたいして公然と抗議をしたためこの辺境基地に飛ばされたそうである。
もし、生存していたら公私混合であることは十分承知の上で父の話を聞いてみたかったと思った。
あとは、基地内の掃討作戦だけであったのでそれは第3次降下部隊の諸部隊に任せた。
敵の第77山岳猟兵装甲連隊の部隊は基地に到達する手前で、
基地上空を警戒飛行中の第2艦隊第191護衛空母群の空母「ケンタウルス」の第32空戦飛行隊と
第15空母打撃群の空母「アムリッツア」の第11空戦飛行隊のスパルタニアンに発見されその大半が
対地攻撃により撃滅され撃ち漏らした12両の装甲車と約2個小隊ほどの残存歩兵をわが中隊の第3小隊が撃滅したそうである。
こうして私の指揮官としての初陣であるβV攻略戦はあっけなく幕を閉じてしまった。
わが中隊の戦死者は
機関銃小隊のカール・ブッシュ曹長(小隊先任曹長)、ケン・クライスト1等兵、第3小隊のアメリア・パックス兵長、第2小隊のマックス・カールセン伍長、ウォルフ・リューカス兵長、そして第1小隊のマック・コーヴィ上等兵の6名が戦死した。
マックス伍長とウォルフ兵長は敵基地への侵入で小型強襲機が撃墜され戦死。
カール曹長は敵から投擲された手榴弾から小隊を守るためにそれに覆いかぶさり戦死。
ケン1等兵とアメリア兵長は白兵戦で戦死。
マック上等兵は負傷がもとで後送中に大量出血で戦死。
負傷者は腕を失うなどの重傷の兵士が4名、中・軽傷は11名であった。
中隊の損失などという数を報告書作成のためにはじき出さなくてはいけなくなり、
泣きながら以下のような戦死報告書を作成した。
「第3中隊 損失数
戦死 6名 うち1名は負傷がもとで戦死
負傷者 15名 うち重傷者4名
・・・・」
といったものであった。
結局は政治家からすれば、作戦の結果なんて敵の基地を制圧したか、どれくらいの施設に損害を与えたのかとか、敵兵を殺傷したり捕虜にしたりした人数、敵の艦艇、航空機、装甲車の破壊・撃破件数なんて結局は「数」なんだ。
戦死したマック上等兵はまだたったの16歳であったし、カール曹長はあと2年で定年退役だ
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