case.3 「歩道橋の女」
U 9.6 am8:33
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れているが、松山さんは最初に5時前後だと断定して話していた。だが、下手をすると4時から5時の間とも考えられるのに、なぜ断定して語ったのだろうか?
「ああ、今朝4時40分頃に見たと言う目撃証言があるんだ。これは犬の散歩をしていた会社員だがな。それで昨日の佐藤神父の様子を知るために、昨日遅くまで教会にいた君達のとこに来たわけだ。」
俺の考えを見透かしたかのように、松山さんは話してくれた。
ここまで聞くと、どうも自殺としか考えられない。だが、松山さんの話し方からして、どうも他の見方もされていることを窺わせた。
「松山さん。そうすると、佐藤神父は私用で夜明け前に教会を出たことになりますが…?」
俺の問いに、松山さんは「うん…。」と唸って仕方なさそうに話し始めた。
「不明な点が多いんだ。そもそも教会を出てからの目撃者が多くてな、佐藤神父はどうやら真夜中から出ていたようなんだ。ある者は北の薔薇園に、またある者は東の市民公園、またある者は…」
「南東の天光寺、南西の破間橋、そして西の近代美術館ですか?」
松山さんの言葉を遮って言ったのは、ずっと黙っていた田邊だった。
松山さんは田邊が言ったことを聞くと、驚いて目を丸くした。
「なんで知ってんだよ!?」
「いや、今ネットでこの土地の地図を出してたんです。初めの二ヶ所を聞いて、ここかなって思ったんですよ。」
静かだったのはこういうわけか…。
しかし、この五ヶ所で佐藤神父は、一体何をしていたんだろう…。
「ん?五ヶ所…?」
俺がそう呟くと、田邊がそれに反応を示して言ったのだった。
「先生、これってペンタグラムなんじゃないですか?」
俺はどうも引っ掛かりを感じた。これだけ目撃者がいると言うのには、何かわけがあるのだろうか?
まさか…死ぬのを分かっていた…?
いや、そんなはずはない。仮にも神父なのだから、自殺に等しいような真似をするはずはないだろう。
だったら何故…?
「君達さ、さっきから何を話してるんだ?俺にはさっぱり分からん。」
松山さんは頬杖をつきながら、ため息混じりにそう言った。
「すいませんね、松山さん。どうも霊絡みのようなんですが…。」
「待ってくれ!またそうなのか!?もう勘弁してくれよ…。」
頭を掻きながら松山さんはぼやいたが、まぁ…仕方ないよなぁ…。松山さんには悪いが、ここから先は俺達の領域ってわけだ。
「田邊君、今日の演奏会のキャンセル告知は出てるか?」
俺はブツブツ言ってる松山さんを横目に、今日のスケジュール確認をすることにした。
まさか依頼主が亡くなったと言うのに、その演奏会を行うわけにはゆかないだろう…。
「はい。どうやら宮下教授と天宮さんも出資していたようで、天宮さんがテレビとラジオで演奏会中止の告知を出してます
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