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幻影想夜
第十夜「祈りの対価」
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こであるかなんてどうでもよかった。ここが自分の居場所なんだ…そう思ったのだった。


   ‡  ‡  ‡


 神は少年の無垢な祈りを尊ばれた。しかし、まだ時の満ちぬ世界を白くすることは出来なんだ。それ故に、彼を手元に引き寄せたのだと言われとる。
 きっと今も…安らかにおるじゃろうて。見知った多くの仲間と一緒にのぅ…。


 さぁて、これで物語はおしまいじゃ。

 わしは旅の語りじゃ。これは古い話でのぅ。ここで語られとる国々も、もはや遠い昔に滅んでおる。この戦の記録さえ残ってはおらん。
 ただ、大切なものを守るように語り継がれておるんじゃ。

 わしゃな、この物語を語るとき、この空のどこかでな、彼らが笑っとる気がするんじゃ。気のせいかも知れん。

 じゃがそれでもええさ、現在(いま)は笑っとれる時代じゃからのぅ…



       end...




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