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ダンジョンに復讐を求めるの間違っているだろうか
魔法覚醒
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残った意識に声が響き渡った。
 だが、その声はあの時のものではなく――自分の声だった。

 (何が言いたい?)

 自分の声に答える奇妙さに違和感を覚えながら答える。

 ――ここで野垂れ死んで本当に悔いはないのかって訊いてんだ――

 (するものか。俺はあの時から死に場所を求めていただけなのだ)

 デイドラは声の主が言わんとするところを薄々感づきながら答える。

 ――死に場所を求めていると寝言をほざく、死に意味を求める愚者は概して、未練たらしく生きながらえる者。俺よ、これを見てまだ戯言を吐けるか?――

 という声とともに、黒に染まっていた視界が眩しくひらける。
 眼前に広がったのは静止した世界。

 自分に止めをさそうと爪を振り上げるキラーアント。
 その後ろにはこちらに殺到するキラーアントの群れ。
 デイドラの目には全てのキラーアントは映っていたが、彼はそのどれ一つも見ていなかった。

 キラーアントの群れの隙間。
 ルームの入口で崩れ落ちる自分を見て何かを叫んでいるリズを見詰めていた。
 その童顔は悲痛に歪んでいて、デイドラが死ねば次に標的にされるのは自分であることをまるで考えていないように見えた。

 (リズ………………)

 ――お前が死ねば、次はリズだろうな。それで、本当に悔いはないか?――

 そう言われて、デイドラは悲痛に歪むリズの顔を見た。

 (どうすればいい?俺はもう闘えない)

 そして、ゆっくりと言う。

 ――それこそ本当か?本当に闘えないか?指を動かすことも、言葉を発することもできないか?――

 まるで指を動かせることも言葉を発することできることは既に決定未来であるかのようにデイドラを詰問する。

 (わらない…………が、動かせると思う。言葉を発することは絶対、できる)

 停止世界の中で口もおろか指が動くかどうか確認できないが、デイドラは根拠なく――つまり、勘、第六感で――断じた。

 ――なら、問題はない。今から言う言葉を覚えろ。長くはない――

 デイドラの返事を聞いて、声の主は彼に伝えた――新たな詠唱式を。

 ――今からお前を帰す。お前は帰った瞬間に今言った文を叫べばいい。今更だが、お前はこれで死ぬかもしれないが、その覚悟はあるか?――

 (ああ、いつでも帰してくれ、覚悟は、できている)

 ――わかった、頑張れ、若人(わこうど)よ――

 と、言い終わったが早いか、止まっていた世界が動き出した。


          【我が身を喰らえ(パーガトリウム・フレイム)】!!!


 その世界をデイドラの絶叫と同時に、破壊の波動がほとばしった。
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