2期/ヨハン編
K4 キモダメシ
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ったのを堪え、調の肩を抱き寄せた。
「調。調、大丈夫だよ。大丈夫。おかしなモノは何もいないから」
寄せた調の体が弛緩していくのを直接感じ取る。
「――――びっくりした」
こてん。調はヨハンの胸板に頭を軽く押しつけた。
その後も病室や診察室、手術室、薬品保管庫、リネン室、ナースステーションなどを歩いたが、最初のようなハプニングも起きず、彼らの「キモダメシ」は終わった。
「結局なーんもなかったデスね」
「きりちゃんの悲鳴、すごかった」
「調! それは言わないのがお約束デス!」
ヨハンは微笑ましい気分で、キモダメシの感想を言い合う調と切歌を見守り、彼女たちを寝るための部屋へ送り届けた。
「じゃあ、おやすみ、二人とも」
「ヨハンは寝ないの?」
「寝るよ。その前にマムのとこに顔を出しに行くだけ。放っておくとまた肉類オンリーの夜食ですませちゃいそうだから。差し入れでもしてくるよ」
「そっか。んじゃ、おやすみデース!」
「おやすみなさい」
部屋へ入っていった調と切歌に笑顔で手を振り、踵を返した瞬間には、すでにその顔に笑みはなかった。
ヨハンは病院の玄関と中庭の両方を一望できる渡り廊下まで来た。
しばらく病院の玄関を見下ろしていると、ヨハンよりは若く見える5人の男子が廃病院に入ってきた。
ヨハンは廊下を歩いていき、1階へ降りた。
柱に隠れて5人組の男子を見ていると、内一人、おどおどした男子が院内へ入って行った。
会話を盗み聞くに、素行のよくない日本人学生のようで、いわゆる「いじめっ子グループ」らしい。先ほどの男子を一人で廃病院の中へ無理やり行かせて、自分たちは彼を置いて帰ろうという魂胆だと聞き取れた。
ヨハンは静かに、大きく深呼吸して、帰ろうとしていたいじめっ子グループの前に立ちはだかった。
「んあ? 何だコイツ」
――怪談やきな臭い噂が残る廃病院。不良の溜まり場になっていたり、面倒臭い取引の現場になっていたりして、人が訪れないとも限らない。
――それこそがヨハンやナスターシャ、ウェルの狙い。
その夜、4人の少年が永遠の行方不明者になり、「夜の病院から悲鳴が聞こえる」という噂が旧浜崎病院の怪談に加わった。
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