4部分:第四章
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「ええ。そうやって自分から危険なことに向かわれて怪我までされたのに。そんなことを仰って」
「武士はな、そうじゃったからな」
「武士!?」
あまり聞かない言葉であった。台湾においては。
「それは何でしょうか」
「まあ簡単に言うと軍人だ」
「軍人ですか」
森川はわざとわかりやすいようにそう説明したのである。
「左様、軍人としての心得か。もっと広く言うと日本人の気構えか」
「日本人の」
「あんたも日本人なんだぞ」
「俺がですか!?」
「他の何だというんだ。ここは日本なのだ」
「はあ」
こんなことを言われたのははじめてであった。今まで彼等は野蛮人だの蛮族だの言われてきたのである。だが森川は彼等を日本人と呼んだ。そして同じ目線で語り掛けてきているのである。
「それでは当然だろう、あんたも日本人だ」
「俺も駐在さんと同じ」
「そう、同じだ」
ニコリと笑って述べた。
「日本人なんだ」
「じゃあ俺もその武士になれるんですか?」
何か狐につままれたような顔になって問う。
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