暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
狙撃手の心得
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の湿った暑苦しい空気が、大勢の人間が放つ人熱特有のむさ苦しい空気にとって変わった時には、ユウキはもう待機エリアへと戻っていた。
どうやら、場所も転送時と同じく三人と喋っていた場所のようだった。きょろきょろと左右を見回していると、肩を叩く手が一つ。
「早かったわね」
ツンと澄ました顔でこちらを見上げてくる顔は、紛れもなく双子の強気なほうのミナ……じゃなくてリラだ。
「そっちこそ。レンはまだみたいだけど、ミナは?」
「そっちもまだね。……どうせ愉しんでるんでしょうけど」
「ん?何か言った?」
リラの言葉の後半は急にトーンダウンして聞き逃したが、少女はそれに何でもないと手をひらひら振った。
「それより相方の心配しなくていいの?やられてるかもよ」
「う〜ん、レンに限って
負け
(
それ
)
はないと思うんだけど……」
妙に歯切れが悪いユウキに、少女はガラの悪い三白眼を細めた。
「何よ。何か気になることでもあるワケ?」
「気になるってほどじゃないんだけど」
首を巡らせると、予選開始前は不愛想にカウントダウンだけしていた巨大モニターに、今はいくつもの戦場が映し出されていた。砂漠や、ユウキがいたようなジャングル、あるいは廃墟で、拳銃やマシンガン、あるいはライフルをブッ放しまくるプレイヤー達の姿が、さながらアクション映画さながらの迫力あるアングルで捉えられている。
おそらく、現在同時進行している数百の試合のうち、交戦シーンだけを選んで中継しているのだろう。時折、プレイヤーが銃弾を受けて四散するたびに、フロアにたむろする無数のプレイヤーから大きな歓声が湧き上がる。
「大丈夫かな、と思って」
「はあ?アイツの戦闘技術なら余裕じゃないの?」
理解できない、とばかりに肩をすくめるリラに、少女は整えられている眉丘をひそめた。
「だって――――」
ひときわ大きな歓声が上がる
とある黒い剣士の試合が劇的な勝ち方をしたことで場が最高潮になる中、二人の少女だけがどこか冷えた雰囲気を漂わせる。
「レン、ノーコンなんだもん」
「――――は?」
第三回BoB予選はまだ始まったばかり――――
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