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〜銃声と硝煙の輪舞〜
狙撃手の心得
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ない。

確かに同じビルで、しかも屋内戦という否が応でも接近戦になるかもしれない状況下は少年からすれば舌なめずりしそうな状況ではあるのだが、いかんせん新装備の手応えがまだつかめていない。

背中のバックパックにすっぽりと収まっているイサカを、キリトの抜剣スタイルよろしく引っこ抜いた。銃身を切り詰めてなお少年の手にはありあまる得物をとりあえず見様見真似で構えてみる。

正直、使いこなせるとはあまり思えなかった。なぜなら――――

軽く下向き方向に傾いていく思考を引きずりながらレンが階段を降り、踊り場に開いたガラスのない小窓に差し掛かった時だった。

ジリッと頭蓋骨の内側が疼くような感覚を感じると同時、タクティカルブーツの靴底が擦過音を立てるほどのスピードで一歩下がった。

瞬間。

小さな窓から飛来した飛翔体が手すりに激突し、埃が舞う空気を爆発させた。

「う…ぉッ!」

とっさに地面に伏せるが、すぐに失敗だったと気付く。窓は手すりよりも高い位置にある。しかも、先ほど屋上で見た限り隣のビルとの間隔はそれなりのものだった。よって、入射角は相当高い位置――――少なくとも今レンがいる高さの階プラス四、五階は上かもしれない。

少年が悪態をつくのと、宙空に緋色の輝線が浮かび上がるのはほぼ同時。弾丸の射線を教える弾道予測線(バレットライン)だ。身体を弓なりにしならせ、勢いをつけて空に浮かび上がるラインを避ける。

唸りを上げる弾丸が再び飛来し、コンクリートの床に深い穴を開けた。

とりあえずレンは、窓の真下。踊り場の壁に背を預け、唐突な銃撃でヒートアップしていた頭に冷や水をブチ撒けた。

思うことは一つ。

―――やっぱ同じビルのほうが良かったああぁぁぁ!!

ここまで来たらもう確定だ。

対戦者の《テンガ》は、狙撃手(スナイパー)だ。しかも半端な腕ではない。窓とはいえ、そこまで立派なものではない。縦四十センチ横八十センチくらいの、ごくごく小さな部類だ。それを遠距離から、レンが通るタイミングまで図って狙い撃ってきた。

まさしく、生粋のスナイパー。スキルや能力値(ビルド)構成もスナイパー目指してやっていたのだろう。

そこに来てこの、縦に移動が面倒くさく、かつ当てられさえしたら横からは一方的に銃撃できるビルという立地(ステージ)。反則的なまでにあちらに利があるような気がする。階段を下りながら確認していたが、このビルにはエレベータはあっても動いてはいない。しかもご丁寧に各階の扉が全て閉まっているため、ゴリゴリマッチョな怪力自慢ならともかく、非力なレンにはこじ開けられるはずもない。

となると、必然的に移動手段は階段となるが、こちらは踊り場を超すたびにビクビクすることになってしまう。

う〜む、
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