宇宙戦艦ヤマト異伝
お母さん軍団の活躍
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母さん達はひるまない。
更に他の大鍋には味噌や牛蒡の良い香りが湧き立つ、暖かい豚汁が出来上がっていた。
調理を終えた料理は一食分ずつ使い捨ての皿、或いはどんぶりに盛られ食事搬送用動力車に乗り病院内へ搬送。
最初の30分で殆どの食材がトレーラーからなくなった頃、お母さん達も庭園から消え失せた。
運び込んだ食事と共に負傷した兵士の食事を介助する為、白衣の軍団が病院の内部を疾走。
病棟には並べられる限りの寝台が並び、通行の邪魔にならぬ廊下にも布団が敷かれ青色人の兵士が寝ている。
赤十字のエプロン姿の女性は病院のベッドがある所全てに、おにぎりや豚汁等を持って突入した。
血相を変えたのは、兵士達であった。
地球防衛軍の連絡将校として共に戦った地球人兵士達は、特に慌てる事は無なかったが。
ガミラス軍兵士達は憤怒とも取れる表情で突進してくる女性達に、遊星爆弾の怨みかと恐れ慄いた。
戦友の地球防衛軍兵士達は、ガミラス兵を宥め一緒に食事を勧める。
戸惑っていた兵士達も報復措置ではないと悟り、お母さん方が差し出す自慢の品を恐る恐る頬張った。
暖かい料理を咀嚼すると血の気が戻り、何とも言えない複雑な感情が薄れ柔らかい表情に変わる。
「美味しいだろう? もっとお食べ」
彼方此方から、無数の声が聞こえる。
重傷の兵士は起き上がれず、口から食べられないが。
優しく頭を膝枕され、脱脂綿に含まれた水を口に当てられ涙ぐんでいた。
またお母さん方も自分の息子や孫と同年代の負傷兵達に、涙を禁じ得なかった。
両手を吹き飛ばされた無残な姿の青色人、ガミラスの少年兵を含む負傷者達。
彼等は頭を撫でられながら、小さく千切ったおにぎりを口に運んで貰っていた。
ガミラス兵も泣いていたが、食事の介助をする女性も目を真っ赤にして泣いていた。
「元気になって、この戦争が終わったら、必ず家に来るんだ、わかったね?
必ず元気になるんだよ、そして、うちの子と一緒に御飯を食べておくれ」
そんな声が聞こえる一方では様々な電子機器に繋がれ、包帯で殆ど全身を覆われた重傷兵士の前にも。
「お母さん」は、来ていた。
口元にスプーンで掬った豚汁を寄せると、僅かに飲み込む。
何か言おうとするがガミラスの兵士は無情にも力は尽き、満足気な表情を見せ静かに息を引き取った。
青い肌の兵士の頭を胸に抱き、「お母さん」は号泣していた。
この場では国境や民族を越え、この一団はすべて「母」であった。
火星防衛軍司令官シュルツ、副官ガンツ以下10数名の志願者。
青色人《ブルー・マン》の宇宙戦士達は、砂の嵐に護られた惑星地下の秘密基地に篭城していた。
他に十数名が第1衛星ディモス内部に潜み、第2衛星
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