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幻影想夜
第七夜「桜、回想」
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は一礼すると、そっとみんなのところへ駆けて行った。そして、みんなに何か言われながら、もみくちゃにされている。

―やれやれ、みんなは知ってたようだなぁ…―

 そう思って見ていると、一同がいきなりこちらを向いて…

「ありがとうございました!」

 って、ルール違反だぞ、お前達っ!

「おうよっ!さっさと行っちまえっ!ガキどもっ!!」

 涙を隠すのに苦労した…。


   §  §  §



 僕は彼女の手を離して良かったんだと思う。

 でも、僕は…。

 いや、僕はこのままでいいんだ。人は変わらなくてはならないこともあるけど、変わらなくてもよいことだってある筈だ。

「なぁ、桜。お前はどう思う…?」

 一迅の風が吹き抜けて、桜の花弁を振り散らす。
 夜空に浮かぶ月が、舞い散る花弁を色鮮やかに浮き立たせ、淡い雪景色のように閑かな一瞬を描きだした。
 それはまるで、僕を憐れむような…未来を指し示しているような…

 とても幻想的な光景だった…



       end...




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