第七夜「桜、回想」
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てことだよな?何としても成功させねば、面目丸潰れだっ!
§ § §
本番当日。もう倒れるくらい、みんなは練習した。
僕がみんなに課したことは“勉強も音楽も怠らない”と言うことだった。
よく頑張ったものだと思う。中間試験は一人も赤点者はいず、小テストですら六十点以下はいなかったと言う…。
やはり…若さとは末恐ろしいものだ…。
「高橋、何だ?緊張してるのか?」
ステージ裏の控え室。みんなこの日のために、服まで統一して用意していた。これは予想済みだ。こちらもタキシードを用意してきたぞ?
「別に緊張なんてしてませんっ!ただ、こういうのは初めてだし、少し恥ずかしいかなぁって…。」
緊張と何が違うんだ?まぁ、いい経験だろうと思う。この生徒達には。
「さてと、そろそろ吹奏楽が終わるな。みんな並んでっ!もうすぐだからな。いいか?お客様はカボチャ様だ。うまそうだからって、よだれ垂らすなよっ?」
クスクスと笑い声が漏れた。よし、大丈夫だな?
声楽部二十六人、輝く光の中へ…。
§ § §
全プログラムの終わり。観客の反応は凄まじかった。どれだけ待っても拍手が鳴り止まないのだ。
―こんなことならアンコール考えとくんだったっ!―
と、思わせる程の拍手。酔う程の大きな響きの波。
僕は小山先生を呼んで話した。小山先生は「私は下がってますので、どうぞご自由に…。」と、笑いながら退場した。
ご自由にって…。
「じゃあ、モテットの終曲ををやる!吹奏楽っ!一応渡しておいた楽譜はあるか?」
吹奏楽の面々は、笑いながら楽譜を見せた。当然こうなることを見越してたように…。
―だから小山先生は…―
笑いそうになった。
―こりゃ一本取られたな。あの調子じゃ、伴奏アレンジも済んでるな…―
「じゃあ、始めるか?」
僕は腕をタクト代わりに振り上げた。
その瞬間、会場である体育館は静寂に包まれた。
声楽と吹奏楽のハーモニーが響き出す…。
§ § §
「わが校始まって以来の出来事でした!」
教頭が卒業式の壇上で熱弁する。
「あれ程の感動は、今まで無かったと思います。確かに多くの思い出はあるでしょう。修学旅行や体育祭などの学校行事や、夏休みなどでの友達同士での思い出。しかし、あの文化祭での声楽、吹奏楽部の発表コンサートでは、言葉では表し切れない感動を与えてもらいました…」
以下略だ。この熱弁は二十分にも及び、先生方を困惑させた。
だが不思議なことに、生徒は眠ったり愚痴を呟いたりするものは一人もいなかったという。(教頭談)
§ § §
部長の高橋も、今日をもって卒業だ。他に十四人が卒
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