第六夜「アクシデント!」
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それは、とある春の日の夕べ。とても幻想的な光景だった。
ある意味で…。
「正樹くん、久しぶりっ!」
そう言って、絶世の美女様に声をかけられた。そりゃもう、男だったら直ぐにでも飛び付きたくなる程の美人。
ただ…176cmの僕と同じ背丈?まぁ、今の日本じゃこんなもんなのかも…。とかアホなことを頭ん中でフラフラと考えてた…。
「私のこと忘れちゃったの?もぅ、冷たい人ねぇ。」
誰だったか、まるで記憶がない…。ドッキリか?それとも新手の嫌がらせってやつ?こんな美人さん、一度会ったら忘れるわけがないっ!
うん、全く知らん美人さんだ!僕は頭の中で、こう結論づけた。
「あのぅ…、全く分かんないんですけど?どちら様でしたっけ?」
僕はやや間の抜けた返事をしてみた。
「あなたのような美人さんだったら、忘れる筈ないんすけど…。でも、ほんとに覚えが無いんすよねぇ。」
そう続けて言うと、その美人さん、唐突に笑いだした。
な、何ごとだっ!?
「ああ可笑しいっ!ほんとに分からないの?あれだけ遊んであげた、お向かいさんを忘れるなんて。全く失礼しちゃうわっ!」
お向かいさん?いやぁ、お向かいの阿部さんとこは男兄弟だったはず。姉や妹がいるなんて聞いたこともない。
「ハァ〜ッ、今の日本ってこんなにも冷たいのねぇ〜。あんなに私の後ろに付いて回ってたくせに…。」
…ッ!まさか…
「あなたもしや…隼人兄ちゃんっ!?」
「ご名答〜!なんですぐに気付いてくんないかなぁ。でも、お兄ちゃんは止してくれる?今の名前は夏希だ・か・らッ!」
ありえねぇ…!アンビリーバブルな展開だよ、こりゃ…。
☆ ☆ ☆
僕は小学校の時、いわゆる「いじめられっ子」だった。そんな僕を見兼ねたお向かいの隼人兄は、僕がいじめられてるとこを見つけては、相手を牽制して僕を助けてくれてたんだ。
その頃、僕は身体が弱かったためによく学校を休んでたんだけど、その時に僕をいじめたヤツを見つけてはコテンパンに伸してたらしい…。そのたんび生傷を作って、先生や両親に怒られてたようだけど。
そんな隼人兄は、僕にとってはヒーローだった。ようは「ガキ大将」って感じなんだけどね?だから僕は隼人兄に憧れ、その後ろに付いて回ってたって訳だ。
…がっ!
「ねぇ、なんでこんなことになってんの?」
僕は顔を引きつらせながら、あの<カッコイイお兄ちゃん>が<絶世の美女>になってしまったことに、どう反応してよいやら分かんなかった。女の子にあれだけモテまくっていたのに…!
「決まってるでしょ?男が好きだからよっ!私は絶対生み違われたんだわって、そう思ったのっ!」
いやぁ、そんなにストレートに胸張っていわなくても…ねぇ…。もしもしぃ?この胸、本
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