第五夜「LOVERS MOON」
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まうのだろう…?こんな感情は生まれて初めてだ。あまりの苦痛に自分を抱いた…。
過ぎ行く四季…いつまでも繋がってたかった想い…。
この夜の闇に溶けて逝けば、あの瞬く星達のように、永遠に輝けるんだろうか…?
僕は自分が解らなくなってた。そして…いつのまにか瞳から涙が溢れてたことに気付く。
冷え冷えとした空間はいつしか、夜の安らいだ闇に呑まれていた。
どれくらい経ったのだろう…。この静寂を打ち破るように、ケータイの着信音が鳴り響いた。
僕は虚ろな瞳で、そのケータイを見つめていた。深い闇の中で点滅する光。こんなにも美しかったんだ…。
少し経って、その音はプツリと途切れた。どうせ僕には関係ないことさ。今の僕は、ただの亡骸だ。僕の中には何の希望も入ってやしない。在るだけの物でしかない…。そんな僕の姿を、月は容赦なく照らし出していた。
きっと今の顔は、とても見れたもんじゃないだろうな…。そんなことを考えてると…
‐ピピピピッ…!‐
またケータイが鳴り始めた。
誰だ?こんな時に…。なけなしの気力を振り絞って、ケータイに手を伸ばす。
電源を切っておけば問題ない。今は一人でいたいんだ。
まだケータイは鳴り続けてる。
「誰だよ、一体…。」
不貞腐れたように着信相手を見た。
「彩華…!」
僕は躊躇った。出ようか出まいか…迷っていた。
だが一瞬の後、意を決して…僕はそれに出た。
「もしもし…」
暫らく無言が続いた。
「勇司…?」
弱々しい彼女の声…。
「ああ…」
何て言えばいいのか、言葉が見つからない…。
二人とも黙ったまま、時間だけが過ぎてゆく。なんだか気まずい…。そんな雰囲気を破ったのは、彼女の方だった。
「あなた、酷いこと言ったよね?」
胸に突き刺さる一言。
「あぁ、悪かった…。僕が全て悪いんだ…。」
向こうで、彼女が震えてるような気がした。でも…僕は続けた。
「ごめん。上手く言葉に出来ないけど…ずっと考えてたんだ。謝ったくらいじゃ許される筈ないけど、たった一言でいい…聞いてほしかった…」
僕はそこまで言うと、一呼吸間をおいてこう続けた。
「僕は…もう君なしじゃ生きてけないんだ。我儘だって分かってる。でも、君のいない生活なんて…」
電話の向こうで彼女が泣いていた…。
「勇司…私もそうなの…。もう、あなたがいない毎日なんて考えられない…。全部許すから…ずっと一緒にいて…!」
なんてことだっ!また彼女を泣かせてしまった…!
「ごめん、また泣かせちゃったね…。お願いだ、もう泣かないでくれよ…」
もう僕は何も言えなかった。だって…僕も泣いてたから
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