第四夜「明日見る希望(ユメ)」
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Kよ!」
全部見透かされてる…。さすがオカマ様、神々しいわ。
「それじゃ、あとヨロシクね?」
それでもやっぱり、ハートは止して下さい…。
そのままウインクしてオフィスを出て行った。顔はいいんだけどねぇ、もう四十六なのにウインクって…寒っ!
「ねぇ、山口くん。用事って、本当によかったの?」
私が尋ねてみると、彼はビクッとして返してきた。
「だ・だい・大丈夫だよっ!まったく何にもOKだしっ!」
…意味不明だ。何か悪いこと聞いちゃった?
「ふーん、それだったらいいんだけどね。」
でも、女の勘…。彼は何か隠してる。
「社長の言ってた“やっぱりねぇ”って、何?」
ちょっとカマをかけてみる。洒落じゃないわよ?
そう尋ねた後の彼は見物だった。いきなり椅子を立って…
「あ、その、え〜と、何というか、その、あ、違…、え〜と、あ…!」
書類が落ちて床に散らばった。それを拾おうとして、机の角に頭をぶつけ、「痛っ!もう、何でこう…」と、そうやってるうちに書類を踏んで、「ああっ!足形がっ!」と叫んだと思うや、またそれを拾おうとして、今度は椅子を引っ繰り返した…。
「ああっ!」
その一角だけが阿鼻叫喚…。何やってんのかしら…。
私は見て居れずに、彼のところに来た。
「もう、どんくさいわね!」
頭を抱えてる彼の代わりに、撒かれた書類を拾った。彼に任せてたら、今日中には終わらないような気がする…。
「すみません…。」
彼は真っ赤になって項垂れてる…。
「全く、そそっかしいわねぇ。何でこんなに狼狽えなきゃなんないのよ?もう、社長も社長だわっ!意味深なセリフ吐いてくなってのっ!」
「え〜っと、社長が悪いんじゃなくて、僕のせいなんですけど…。」
…?なぜっ?
俯いたまま、彼は徐に私へと言った。
「僕、遥さんのこと好きなんです…!入社した時から…。社長、それに気付いてるようで…。」
…ハッ?…え〜っと…
今度は私だった。
「その、え〜っと、あのねぇ、あっ!」
隣の机の筆記用具を入れた缶をぶちまけた。
「あんっ!もうぅ!!」
それを拾おうとしたら、後ろの棚にぶつかって、上に乗ってるものを散乱させた…。何やってんだか…私…。
「ハハハハハハ…!」
そんな私を見て、突然彼が笑い出した。
「遥さんでも、こんな風になることあるんだ!」
ええぃ!うるさいっ!
私は真っ赤になって言い返す。
「もう!何で隠してるのよ!面と向かって言えば良かったじゃない!!」
そう言って、私は彼を睨みつけた。
すると、彼は真顔になって「遥さん、僕と付き合って下さいっ!」っと、こうきたわけだ。
何さ、何もこんな物が散乱してるとこで言わなくったって…。
なんだか私は可笑しくなってきた。
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