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幻影想夜
第四夜「明日見る希望(ユメ)」
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かチェックするだけだし、コーヒーでもいれてきましょうかね?
 私はそう思い席を立ち、事務所の奥にある給湯室へ向かった。
 彼はいつもブラックだ。私は無理だけどね。二つのカップを持ってオフィスに戻っり、彼のデスクに向かう。
「どうぞっ。」
 彼に向かってカップを差し出す。
「ありがとうっ!」
 花が咲いたような能天気な笑顔。ころころと犬コロみたいな人。
「仕事は順調に進んでる?」
 心配になって、コーヒーを啜りながら聞いてみた。
「うん、今遣ってるのは大丈夫だよ。」
 よし、忘れてることはないようだ。
「でも、明日の朝に仕上げようとしてた書類、そっくり家に置いて来ちゃった。いまやってるのは、少し先のやつなんだよねぇ〜。」
「ブッ…!」
 私はコーヒーを吹き出しそになった。何ですとっ!やはりボケボケ魔神か!?
 額に手をやって、ため息をついた…。今に始まったことじゃあないけど、よく社会人として遣ってけるわ…。
「でも大丈夫!今日の分は完了してるしね。遥さんの方はどう?」
 私の心配はしなくていいって…。
「こっちはあと小一時間もすれば終わるわよ。」
 取り敢えず、この山を平地にしないとね。もう一頑張りよ!


  *  *  *  


 暫らくは静かだった。
 彼がパソコンを叩く音、私がチェックしてる書類の擦れる音だけが事務所に響く…。
 私はこの仕事、結構好き。確かに、会社の内情は火の車って感じだけど、ここの雰囲気は気に入ってる。そして、他社に倒されてたまるもんかっ!って気にさせてくれる仲間もいる。
「あらぁ、二人ともまだやってたの?」
 社長が入ってきた。この口調だが、れっきとした男性だ。別の言葉で言い換えれば、オカマ様なのだ。
「遥ちゃんが心配になって、ちょっと見にきちゃった?」
 最後のハートは要らないですよ、社長…。
「もうすぐ終わりますから。」
 私は苦笑いしなが社長に言った。
「ゴメンねぇ〜遥ちゃん。あなたしかこの仕事頼めなかったのよぅ〜。他の人にも振り分けようかって迷ったんだけどね、却って効率が落ちるんじゃないかって思ったの〜。で・も…何で昇くんまでいるわけ?今日、確か用事があるって…だから直帰しますって言ってなかったかしら?」
 社長がクネクネと意味深な瞳で彼を振り返った。山口くんは顔を引き攣らせて言った。
「い、いやぁ…、用事無くなっちゃって!早く帰って来れたから、次の仕事の段取りでもとっ…!」
 社長はクスクス笑って返した。
「やっぱりねぇ。私はお邪魔虫のようだから、これで退散し・て・あ・げ・る?」
 だから、語尾のハート、要らないって…。
「あ、遥ちゃん、これ差し入れのドーナツよ。後で昇くんと食べてね。あと、会社はどうにかなりそうだから、あんまり心配しなくてO
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