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幻影想夜
第三夜「歩道橋幻影」
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んでるから、全部解決したら、またこの歩道橋に来てみてよ。僕、ここよく通るからさ。」
 一人で登った歩道橋…それを今度は二人で降りてきた。何だか不思議な気分だ…。
「じゃあ、頑張ってね!」
 彼が手を差し出してきたため、僕はそれに答えた。
「分かった。期待に添うよう頑張るから。」
 将之と僕は堅い握手を交わした。
 そして、笑って彼とは別れたんだ。

   *  *  *  


 僕の悩みが晴れるのに、かなりの時間を要した。
 先ず、一連の流れをすべて両親に打ち明けた。
 最初は唖然とし、驚き惑っていたけど…僕のために出来得る限り助けてくれた。全く、不肖の息子だ。
 知り合い同士の争いは、結局、双方に責任があったのだ。当たり前と言えば当たり前なんだけどさ…。自分を守るために、互いが僕に嘘を吐いていたんだからね…。全く…顔見知り程こういうのは怖いと思い知らされた…。
 残った金銭問題もどうにかなりそうだ。まぁ…今すぐと言う訳には行かないまでも、少しずつ解決出来る見通しがついたから。
 僕はこの件でかなりの痛手を負ったが、心にあるのは…あの晩冬の夕暮れに出会った彼のことだった。
 彼のお陰で、今を生きて行く希望を持つことが出来たんだから。
「もうそろそろ…会いに行こうかな…。まぁ、会えるかどうか分からないけどさ。」
 季節は晩秋。もう少し経てば、彼と会ってから九ヵ月経つ。
 一年も経ってないのに、もう何年も会ってないような気がするなんて…。恋人でもあるまいに。
 長くて短い日々。何も考えず死のうとしていた、あの頃の自分とは違う。今度は堂々と、彼に会いに行ける。


  *  *  *  


 数週間、いつものようにあの歩道橋へと足を向けた。しかし、時間が合わないのか、ずっと会えず終まいだった。
 そんな中のある日。フッと下に目をやると、階段の脇に花束があることに気付いた。
 初めは何とも思わず、「誰かここで亡くなったんだなぁ…。」ってくらいにしか思わなかった。そのことを何となく母に聞いてみると、「ここ数年、そんな話しは聞いてないけどねぇ…。」と、こう返された。
 僕は何だか胸騒ぎして、迷惑も顧みずに歩道橋近くの交番に尋ねることにした。
 幸いここの警官は穏やかな人で、僕にあの歩道橋での出来事を語ってくれた。
「ああ、歩道橋下の花束のことか…。そうだなぁ、もう十四、五年位前になるか…。あの歩道橋でな、飛び降りた青年がいたんだ。とても優しい青年でなぁ、毎日この前を通るときには、挨拶してくれたもんだったよ。残念なことに、即死だったんだがな…。」


   *  *  *  


 今から十五年前の話。
 一人の青年がここで死んだ。この歩道橋からの投身自殺だった。
 遺書は残しておらず、両
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