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幻影想夜
第三夜「歩道橋幻影」
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うか迷ったが、正直に答えることにする。
「僕は中村和希。なんか、迷惑かけたね…ゴメン。」
 僕は頭を下げた。将之と名乗る青年は、僕の顔をそっと覗き込むようにして優しく言った。
「まだ何も聞いてないよ。さぁ、話してみてよ。ここは滅多に人も通らないし、車がこれだけ走ってれば、下に聞こえることもないよ。ちょっと寒いのが難点だけどさ。」
 笑いながら缶コーヒーの蓋を開ける。僕も苦笑いしながら缶コーヒーを開け、その場に腰を下ろした。
「切っ掛けは、一本の電話だったんだ…。」
 僕はポツリポツリと話し始めた。彼も座り、僕の話すことに耳を欹ていた。
 知人同士の諍い…それに伴う借金問題…仕事も辞めなくてはならなくなったこと…

 彼は僕が話す度に頷き、時に相槌をうつ。不思議と話してる間、何か見えない力が苦痛を取ってくれてくような気がしていた。
 それは、胸の奥に疼いてた膿んだ心を、少しずつ癒してれているようだった…。
 夕暮れが去り、もう夜の星の瞬き始める頃、僕の話しはやっと終えた。
 僕の話しを聞いて、彼は一言。
「きみだけのせいじゃないよね?これ。」
 僕はキョトンとした。他の人はこの話、半分も聞く事無く…
「おまえが悪いんじゃないか。首突っ込んだのだって、おまえが決めたことだろうが。自分で責任持つしかねぇだろうよ。」
 こう言われ、切り捨てられてきた。
 でも彼は、最後までもの言わず、ずっと通して聞いてくれたのだ。
 本来これが“人の話しを聞く”と言うものなんじゃないか?人は少しずつ病んでゆき、他人のことなど知ったこっちゃなくなるのだろうな…。でも、それに気付いて、僕はやっと笑えた。
 なんだ、そうだったんだ。
「きみは少し考えすぎだよ?確かに一つ一つがこんがらがって、今は見えにくくなってるけどさ。端から解決してゆけば、絶対全部うまく行くさ!だから、きみには頑張ってほしいなぁ。」
 彼は立ち上がり、笑って手を伸ばした。
「ああ、頑張るさ。どれだけかかるか分からないけどな。」
 僕は彼の手を取って立ち上がり、彼に面と向かって言った。
「聞いてくれて、ありがとうな。何だかスッとしたよ。何も一人で考える必要なんて無かったんだな。」
 二人で笑った。
 今までウジウジ悩んでた自分がバカらしくなった。
 正直な話し、まだ不安はあるけど、なんとかなるって分かったから大丈夫だ。もう死のうなんて思わない。未来を信じるしかないんだよな?
 将之は手を離し、笑顔のまま言った。
「ずいぶん遅くなったねぇ。もう帰らないとね。」
 優しく肩に触れて、階段を降りるように誘った。僕は咄嗟に、「また会えるかな?」と彼に聞いてみた。
「そうだなぁ、僕は本当に通りすがりなんだけどねぇ。縁があれば、また会えるんじゃないかな?この辺に住
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