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恋姫†袁紹♂伝
第21話
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略を皮肉で呼ばれては心象に悪いのではないか? と思い声を出したのだが――

「お兄さんは……いえ、お兄さん達と風は文字通り『鉄』で『民草』を救ったのです。
 誇ることはあっても、恥じることは何もありませんよ〜」

 「……そうですね」

 柔らかい笑顔で語る風を見て思いとどまる。あの袁紹なら気にしないどころか、高笑いと共に正式名称として使うかもしれない。
 彼の下にいたのは短い間だったが、そう思わせるほどに豪快な人物だったと、郭嘉は改めて袁紹を思い出していた。

 そして、何のためらいもなく親友に信頼を寄せられている彼に、少し……嫉妬した。

「あの計略は本当に驚かされました。でも次は――」

「……次はなんですか?」

「フフッ、何でもありません」

 次は私達が驚かせてあげましょう。という言葉を必死にのみこむ、この広宗において策の準備は既に終えている。極めて成功率が高く親友に自慢したかったが――それで失敗しては目も当てられない。

 彼女の反応を楽しむのは策が成ってからだ――棄鉄蒐草の計において、先に大陸中に名を轟かせた親友。風に対抗意識を燃やしていた郭嘉は、策の成就のため用心深く口を噤んだのだった――




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