第21話
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まるで成長していない! という言葉を必死に飲み込む、彼女の姿は私塾にいた頃と変わらなかった。良くも悪くも袁紹が最後に見た曹孟徳そのものだ。
とは言え、袁紹が良くても彼女の心情的には穏やかではないだろう。私塾にいた頃から自分の身体的成長を渇望してきたのだ。迂闊な言葉は掛けられない。
『まるで成長してねーナ! 呪いでもかけられたのかヨ!!』
「なっ!?」
そして突然、宝ャが袁紹の内心を暴露する――袁紹の声で……
「……」
「ま、待て華琳! 話せば解る!!」
額に青筋を浮かべ始めた華琳に何とか取り繕うとする。既に尋常ではない殺気が彼女から漏れ出しており、袁紹は滝のような汗を流した。
(お、落ち着け、まだ慌てるような展開ではない。大体先ほどの言葉は宝ャのものだ。
断じて我ではない。そう我ではないのだ! 声は我のだったが……違うのだ!!)
「……」
絶賛混乱中の袁紹に向かって、華琳はゆっくりとした動作で近づく、良く見るとその手には彼女の得物である『絶』――死神の鎌を模したような武器が握られていた。
これはまずい! すでに華琳の目から光が消えている。生命の危機を感じた袁紹は必死に頭を動かした。ありとあらゆる謝罪と世辞の言葉が、まるで走馬灯のように頭の中を駆け巡り、状況を打開しようと模索していたが――
『物騒だなオイ! そんなだから男が寄って来ないんだゼ!!』
―――終わった。
………
……
…
「……? 今お兄さんの悲鳴が聞こえたような……」
「袁紹殿の? 私達の陣営にそんな危険はありませんよ」
「それもそうですね。きっと気のせいです〜」
久方ぶりに顔を会わせた両名は話しに花を咲かせていた。とりわけ話題になったのはあの大計略である。
「それにしても……袁家は大分派手にやりましたね」
「風達はお兄さんの派手好きに感化されたんですよ〜」
「……棄鉄蒐草の計、そう呼ばれているみたいですよ?」
「……ぐぅ」
「寝るな!」
「おぉっ!? このやり取りも久しぶりですね〜」
「フフッ、そうですね」
「それにしても……棄鉄蒐草ですか〜、言いえて妙ですね〜」
「……風?」
『棄鉄蒐草の計』袁家が行った大計略を諸侯が呼称したものである。賛辞ではない。皮肉だ。
貴重な鉄を取るに足らない草に変える行為、袁紹に対する嫉妬や対抗意識から、諸侯達は棄鉄蒐草と名づけたのだ。
「あとでお兄さんにも教えてあげないとですね〜。きっと喜ぶのですよ」
「し、しかし……!?」
楽しそうに提案する親友に郭嘉は待ったを掛けようとした。折角の大計
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