4部分:第四章
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武士と武士の言葉だった。そこには偽りも欺きもなかった。心と心の言葉であった。
「帝は御守りする。安心してくれ」
「かたじけない。ではわしはこれで去る」
遂に碇の綱を捲き終えた。そうしてその碇を両手で高々と掲げ。そのうえで海に向かって投げた。綱がそのまま海の中に入っていく。
そして最後に自分が海に飛び込む。その時最後に彼は言った。
「これも我等が罪の報い。ならばそれを受けよう」
知盛は海の中に消えてしまった。後には荒れ狂う海が残っているだけだった。義経は一人それを見届けていた。だが彼の消えた後で一礼しそのうえで岸壁を去るのだった。後には何も残っていなかった。ただ儚さだけを残して。
碇知盛 〜義経千本桜より〜 完
2009・5・14
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