五話:乞食と日常
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がら返事をするジーク。
顔まで赤らめているその姿は正直言って可愛らしいが、俺は容赦しない。
「俺がテントで寝るから、お前は外で寝ろ」
「普通逆やないの!?」
「どこの誰のせいでこんな状況になっていると思っているんだ?」
「うぅ……」
流石にそこまで言うと自分が悪いのは分かっているので寝袋を引きずりながら外に出て行くジーク。
俺はその様子を見送りながら適当に毛布を引っ張り出して被る。
明日はいつもより早く起きないと学校に間に合わないからもう寝ないとな。
俺は外に居るジークのことを気にもかけずに目を閉じる。
「……やっぱ、ちょっと寒いなぁ」
「………………」
……特に何も聞こえなかったから早く寝よう。
「また、やってもーた……。あの頃から何にも変わってへんのかなぁ……」
「………………」
ジークの独り言が聞こえてきていつもならすぐに眠れるのだが今日は眠れない。
「何やっても迷惑かけて……やっぱり、嫌われとるんかな」
「…………っ」
そうだ、今日はテントの中が暑くて寝苦しいから寝れないんだ。
そうだと分かれば善は急げだ。快適な眠りの為に行動を起こすとしよう。
「……ジーク」
「リ、リヒター!? どないしたん?」
「いや、やっぱり俺が外で寝る。暑いからな」
俺はジークの返事も聞かずに黙って外に寝転がる。ああ、星が綺麗だな。
偶にはこうやって外で寝るのもいいもんだな。
そのままの状態でジッとしているがジークが中々動き出さない。
「寒くないん?」
「これぐらいがちょうどいい」
「体震えとるよ?」
「……………インナーマッスルを鍛えているだけだ」
「寒いんよね」
再度尋ねて来て、俺の言葉を無視するジーク。普段ならもっとキレのいいギャグが出てくるんだがどうも眠くて頭が回っていないらしい。
決して図星だったからではない。
そのうちジークが近づいて来て俺の隣に寝転がる。
「何をしているんだ」
「こ、こうやったらあったかいかなおもーて」
「恥ずかしいなら無理してするなよ」
声が震えているので顔を見なくても真っ赤になっているのが分かる。
おかげでこっちも少し恥ずかしいだろ。
「はぁ……どうせ一緒に寝るんならテントの中でいいだろ」
「やっぱ、寒かったんやん」
「今度からおでんを作るのをやめるぞ」
「やめて、それだけは堪忍してーや」
二人でテントの中に入り背中を向けて横になる。
少々暑いがまあ、ジークに風邪を引かすわけにもいかないしな。
さっきは俺が追い出した? そんな昔の事は覚えていないな。
「ああ、それとこれは独り言だ」
「どうしたん、突然?」
「俺は嫌いな人間と一緒に居られる
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