3部分:第三章
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「これでもう」
「局・・・・・・」
そのまま帝を抱いて海に飛び込もうとする。しかしその時であった。
「おのれ、何という風だ」
知盛は今の風に歯噛みしていた。彼は海の上にいた。そこの一艘の舟に乗り戦っていた。彼は無事であったのだ。
「篝火が。これでは」
「帝が誤解されますな」
「その通りだ、ここは暫し待て」
戦の場を家臣達に任せることにしたのだった。
「局様が思い違いをされていればことだ。見てくる」
「わかりました、ではここは我等にお任せを」
「頼むぞ」
こうして彼は一艘の舟ですぐに局と帝がいる岸壁に向かった。そしてそこにいたのだ。
「何っ、御主は!」
「知盛殿であるな」
「九郎判官、貴殿が何故ここに・・・・・・いや」
岸壁にいたのは義経であった。彼は帝をその手に抱き知盛の前に立っていた。後ろには局もいた。
「帝はこの通りだ。御無事だ」
「そうか。しかし」
「貴殿の考えはわかっていた」
知盛が言う前に義経から言ってきた。
「それは既にな」
「そうか、流石だ」
知盛もイアの言葉でわかったのだった。
「流石は九郎判官義経だ。しかし」
だがそれでもだった。彼は戦うつもりだった。その顔に口惜しさを見せながらそれでもだった。血が滲んでいる顔をあげその手の刀を構えるのだった。
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