暁 〜小説投稿サイト〜
K's−戦姫に添う3人の戦士−
1〜2期/啓編
K11 生還悪
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言われたし、色んなイタズラされました。あの子も暴力を揮われたりしてるけど、言わないから」






 ――授業はあっというまに終わって放課後になった。

 放課後といや部活。おれはバスケ部ね。特別バスケに愛着があったわけじゃない。入学して間もなく、勧誘中だった当時の先輩方に引き入れられただけだ。

 体育館の更衣室で体操服とゼッケンに着替えてフロアに出る。
 1年部員の数人はすでに来てアップを始めている。熱心で感心感心。

 おれも隅で準備体操をすませる。んで、いざバスケットボールを持って練習に加わろうとした時だった。
 背中に何かが激しくぶつけられた。

 膝を突いた拍子に、手からボールが落ちて転がった。
 ふり返る。同じバスケ部部員の同学年が、3人ほど集まってクスクス笑っている。懲りねえ奴ら。落としたボールを拾ってボックスに戻してっと――

 そこの3人組。ツラ貸せ。






「わたしはいいです。でもお母さんやおばあちゃん、啓が毎日辛いのは……見てらんなくて」
「それでリディアンに入学したのか」






 ――クラブ活動はあっというまに終わって夕方になった。

 あの後、おれにボールを投げた同級生連中とは少ーしばかり「お話」をした以外に、変わったことはなかった。部活動の練習メニューをこなし、たまに故意のボールをぶつけられつつ、今日も立花啓の一日は終わった。

 チャリンコを漕いで寄り道せずに家に帰った。

 近代的デザインが主流の住宅地にあって、「サ●エさん」風味の2階1戸建て。ここが立花家である。
 1ヶ月前には響ちゃんも合わせて家族4人暮らし。今は響ちゃんがリディアン音楽学校に行ったので3人暮らしだ。

「ただいまー」

 自室に上がる前に台所に顔を出す。義母さんが夕飯の支度をしていた。

「おかえり。今日は早かったのね。晩ごはんもうちょっとでできるから着替えてきなさい」
「はーい」

 次に台所の隣の居間に入った。

「ばあちゃん、ただいま」
「ああ、啓ちゃん。お帰り。学校どうだった?」
「別に。いつもと変わらずフツー。母さんが夕飯もうすぐだって」






「啓は、あの子は、わたしの最悪の時代を知ってる家族の一人。自分一人が男だからって、無茶して、お父さんに殴られて。部活でも、本当はレギュラーなのにわたしの弟だからって理由で抜かされて。そうなっても、啓はわたしを守ってくれた。短い休み時間や昼休みは必ず会いに来てくれて。だから、啓が適合者だって分かった時、啓はきっとわたしのために戦うって決めたんです」

 いつだってわたしを最優先で守る啓。いつだってわたしを心配して気遣いに来る啓。
 その存在に何度救われたか
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