1〜2期/啓編
K10 覚醒、デュランダル
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え!
「降ります!」
バリアサークル楕円形展開。魔法陣みたいにアレコレ模様が浮かぶサークルに飛び乗る。当然、重さがかかれば盾でしかないサークルは落ちるだけ。
煙に突っ込んだ。げほっ。さすがにのどにキツイ。
最高全開 行っちゃえ ハートの全部で――!
分かる。響ちゃんがどこにいるか。だって聴こえる。響ちゃんの歌。全力全開の響ちゃんの声。
スケボーの要領で、足捌きで落ちる方向を調節する。
「そ、こ、だああああああッッ!!」
煙を突き破る。果たしてそこには――ノイズの群れを食い止めてる風鳴サン、宙に浮いた黄金のバスタードソードと、それに手を伸ばす白い子、白い子を追っかける響ちゃん。ビンゴ!
「ぶっ飛べ! 最大出力ぅぅぅぅ!!」
「何ィ!?」
白い子の横っ面を蹴った。勢いは止まらない。白い子もろともぶっ飛んで地面に落ちるコースだ。でも、これで。
「響ちゃん!」
「サンキュー、啓!」
響ちゃんがジャンプし直して、デュランダルをキャッチした。
やったぜ! 守り通したんだ。おれたち姉弟の力で。
カ…ゥアアアアン…ッ!
黄金で出来た鐘を撞いたみたいな、荘厳な音だった。
「え?」
「!! いい加減…どきやがれ!」
落ちて縺れたままだった白い子がおれのアゴを下から蹴って飛んでった。自業自得とはこのことか。必殺の技が討つのは我が身か。泣くぞちくしょう。
「大丈夫か!?」
風鳴サンがおれのほうに駆け寄ってきた。
「へ、へっちゃらっす…! それよりデュランダルは、響ちゃんは」
カ…ゥアアアアン…ッ!
2度目はおれも見た。見て、何で了子サンや風鳴サン、そして白い子が驚愕したかを知った。
「ひびき、ちゃん…?」
デュランダルを掴んで着地した響ちゃんは、まるでケモノだった。全身黒く染まって、赤い眼を剥いて牙を剥き出しにした、おれが全然知らない響ちゃん。
この光。知ってる。響ちゃんのガングニールが初めて起動した日に見たのと同じ。
眩しくて、禍々しい、金色。
響ちゃんがデュランダルを両手で掴んで頭上に振り被って、振り下ろそうとしてる。待ってくれよ。そんなことしたら、この地帯、吹っ飛んじまう。どんだけ犠牲者が……
「ダメだ…『そっち』に行っちゃダメだああああ!」
全力疾走。響ちゃんのがら空きの胴にタックルみたいに抱きついた。
そんで何もかもがホワイトアウトした。
櫻井了子は、もつれ合って倒れた立花姉弟を、嫣然と見下ろした。
完全聖遺物をただ一人の歌で起動した響。そして完全聖遺物をただ一瞬で休眠させた啓。
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