八十八 初戦・参戦・国境線
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「ぐあ…ッ!!」
今度は余波などではなく、もろに受ける。腹に打ちこまれた【螺旋丸】が次郎坊を襲う。
先ほど余波だけでも吹き飛んだのだ。未完成とは言え、その威力は凄まじい。
同時に、ナルの影分身達が渾身の力で次郎坊の足首を引っ張った。
痛みに耐える次郎坊は為すすべなく、地下に引き摺りこまれ、やがて完全に土砂の中へ消えてゆく。
掘り返された大地の上。
一人佇むナルの息遣いだけが、その場に残っていた。
「貴方の相手はこの私です」
キリッと顔を引き締めて宣言するヒナタを、ネジは呆然と見遣った。
「ひ、ヒナタ様?何故…」
「任務帰りに【白眼】で視えたので…」
対峙する鬼童丸から眼を逸らさずに、ヒナタはネジのもっともな問いに答えた。
彼女が突如としてネジ達の闘いに参戦したのは、本当に偶然である。
任務から帰っている矢先、【白眼】で先を見通したヒナタは偶々誰かを追い駆けているネジ達を見掛けた。
同時に、その先にいる波風ナルの事も。
当然、ヒナタは自分が憧れるナルの許へ向かおうと思った。彼女に加勢したかった。
けれど、【白眼】の視界の中で、闘志を瞳に宿して闘うナルを見て戸惑ったのだ。
今ここでナルの戦闘に加入すれば、逆に彼女のペースを崩すのではないか、と。
推察するに、ナルは足止めとして一人残ったようだ。ネジを始め残りのメンバーは後ろ髪を引かれながらも誰かを追っている。
ならば、自分がナルの為に出来ることは。
ヒナタは逡巡した。
今この場で自分が取れる最善の行動を見出す為、【白眼】で視る。
故に彼女は現在、此処にいる。
ナルの意志を尊重した上で、ヒナタは鬼童丸との戦闘を選択したのである。
たとえ、本心ではナルの援助に回りたくても。
「ネジ兄さん。私は貴方達の任務を知らない。でも誰かを追ってるってのはわかる。だから―――」
すっと手の甲を掲げる。ナルと同じ、闘志を宿した瞳が狼狽するネジを促した。
「ここは私に任せて、行ってください」
躊躇するネジを見兼ねて、シカマルが自分達の任務の経緯を手短に告げる。勿論『サスケを見逃す』という任務の真意は伏せて。
シカマルの話を耳にしたヒナタは自分の判断が間違ってなかったと悟り、ほっとした。
そうしてネジ達を先に行くよう仕向けるヒナタに、焦れた鬼童丸が攻撃を仕掛ける。
「逃がすかよっ!!」
戸惑いつつもサスケを追い駆けようとしたネジ達目掛け、襲い掛かる蜘蛛の巣。粘着性のある糸が、シカマル・キバ・いの・ネジ――四人の背中に向かって飛び掛かる。
重力に逆らって襲い来る蜘蛛の糸が最後尾にいるネジの足に届く寸前。
糸がぷつり、と断ち切られた。
他でもない、ヒナタ
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