ハーフエルフの日記2
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けず、必死に走った。
なんとか無事に女の子の元へとたどり着き、女の子をおんぶする。そのままミイシャの元へ行こうとしたが、そうは問屋が降ろさなかった。二体の内の一体が此方に気が付き、突進をしてきたのだ。
迫り来る恐怖に、女の子を庇いながらいつかと同じように瞳をギュっと瞑る。
今度こそ終わりだと思った。人生はここで終わるものだと思った。
でも、あの人はまた私を助けてくれた。
瞳を閉じた後、初めに聞こえてきたのは何かが壊れる音だった。そして直後に聞こえてくるのはモンスターの悲鳴。
ゆっくり瞳を開き、目の前の光景を見て……………絶句した。
大型。それも10Mはありそうな巨体のモンスターに、深々と屋台が刺さっていたのだ。
驚いて、おそらく屋台を飛ばしたであろう人物――――アレン先輩を見ると、肩を上下させ、立つのもやっという姿だった。顔は俯いているため、その表情はわからないが、笑っている顔は想像できなかった。
そして彼の横には建物の下敷きになっているもう一体の新種。恐らく自分で壊した建物に巻き込まれた……………いや、巻き込まされたのだろう。
彼を見て、屋台が此方に飛んできた理由もわかった。
先輩が右足で踏み抜いている鉄板。そしてその鉄板の先には少し太い木の板。さらにその先にある建物の壁。
三つの板状のものを使い、『てこの原理』を発動させたのだ。証拠に、建物の壁の先には、屋台が設置していた後がある。
私を襲おうとしていたモンスターの喉元には屋台が深々と突き刺さり、魔石をくり抜いていた。魔石を抜かれたモンスターは勿論灰となり、消えた。
しかし建物の下敷になっているモンスターは違い、身じろぎをして、なんとか建物の下から抜け出そうとしていた。私は俯いたままの先輩に向かって叫ぶが、彼は動かない。私はそれでも叫び続けた。すると、先輩が顔を上げ、此方も見て、笑った。まるで速く逃げろと言わんばかりに。まるで自分は此処までだと言わんばかりに。
そして私は気付いた。彼のお腹を貫通している大きな木材の破片に。
今度こそ甲高い悲鳴を上げ、涙を流した。見ればミイシャも驚愕して、手を震わせている。
背中にいる女の子を逃がさなければならないのに、ミイシャも連れて逃げなければならないのに。私は涙が止まらなかった。
そしてとうとうモンスターは建物の下から抜け出し、ヨロヨロと起き上がる。Lv.2の冒険者でも倒せそうな状態まで弱っているのだが、彼一人くらいなら簡単に倒せるだろう。
しかし、彼は私達に笑いかけた直後、糸が切れたように倒れた。
自分でも分かるほ
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