1期/ケイ編
K6 向かい合う自分でいたいよ
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「俺と立花ちゃんの共通の知り合いが最近、大怪我してな。その見舞いをお願いしたんだ。俺はバイトであんまり行けないから」
すると未来はガードレールを強く握り、俯いた。
「兄さんまで…知らないとこで、響と、わたし以外の子と…秘密を共有してる。響と兄さん…大好きな二人が同時に離れてく…」
ケイはとっさに未来の肩を掴んでいた。未来の潤んだ目がケイを見上げる。
機密を明かせば、その相手に類が及ぶ。最悪、死の危険もある――シンフォギアを説明した時に弦十郎が言った台詞が蘇る。しかし、自分や響と密に付き合いのある未来には、いつまでも隠し通せるものではない。ならばいっそ、ここで全て打ち明けても――
ドガァァン!!
ケイも未来も爆音がした方向をふり向いた。緑林地帯の一部から煙が上がっていた。
まさか、と思っていると、通信機の呼び出し音が鳴った。
ためらいにためらいを重ね、ようやくケイは通信機を出した。
「――はい、小日向です」
《ネフシュタンの鎧の少女が現れた。今は響君が交戦中だ。至急、応援に向かってくれ》
未来の表情が信じられないものを見るものへと変わっていく。
「今、『響君』って…交戦って、なに、何と…」
今ここでギアを纏えば、今日までの嘘の全てが未来にバレる。
心の中で天秤にかける。
響を助けて未来の信頼を失うか。ネフシュタンの少女は響に任せて、未来の中の理想の兄像を守るか。
ケイは――決断した。
「現場近くで要救助民間人を発見。その子を避難させ次第、俺も立花の応援に向かいます」
ケイは通信機を切り、未来をまっすぐ見据えた。
「聞いた通りだ。未来。俺と立花ちゃんは、あそこで爆発を起こしてる連中と戦ってる。敵の中にはノイズもいる」
「うそ…嘘だよね…ねえ、ケイ…っ」
ケイは未来の前から3歩ほど下がり、詠った。
「 ――Harmones A-lens toges tron―― 」
プリズムレーザー――アルキメデスのレンズがケイの四肢を装甲する。
シンフォギア装者としての小日向ケイの姿を、初めて義妹に晒した。
「ごめん。未来」
視線が痛いとはこういうことか、と頭のどこかが冷たく考える。
「俺たち未来に嫌われたくなくて、ずっと未来に嘘ついてたんだ」
これ以上は無理だ。虚勢を張れない。
そう判断したケイは、未来から目を逸らし、緑林地帯に飛び込んだ。
「響…ケイ…」
未来の両目から大粒の涙が流れ落ちた。
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