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寄生捕喰者とツインテール
二度目の急展開
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(『こーんな晴れやかな気分ナラ、さぞかし気持ちいいんだろうけドヨ』)

「如何したラース、嫌に静かだな?」
『失礼しちゃうぜ相棒。俺だって生物、考え事ぐらいすんノサ』
「前に言っていた事か?」
『御明答』
「……本当に、当たらないで欲しいんだが。その嫌な予感は……」
『俺に言うナイ』


 御尤もな返答を受けて、瀧馬は肩を竦めて首を回す。
 ラースは(口など無いが)欠伸をし、道のより遠くを見据える。

 何時もと変わらない筈の登校風景は、それでも今日ばかりは、彼らには何処か異なって見えた。















 アルティメギル基地内部の、重役の部屋が連なるエリア。

 普段行き来する場ならば大なり小なり声が聞こえる基地も、このエリアだけは不気味な静けさに包まれている。

 クラーゲギルディは何時に無く緊張した面持ちで、速足に歩を進め目的地へと向かっていた。

 彼がここに居る理由、それはダークグラスパーに呼ばれたからである。


 遡る事数時間前に、此処へと到着したダークグラスパーは、何故か皆に挨拶する事も無くそのまま自室へ向かったようで、クラーケギルディもその姿を目にしていない。

 闇の処刑人、闇の執行者、その名で噂されるダークグラスパーの来訪を驚いていたクラーケギルディだが、実は内心半分ほどは信じていなかったりもする。

 たるみきった者達の背筋を正す為に誰かが流したデマか、重罪ではない者を手に欠けぬ事を偽装したか。
 もし真実だとしても、ここに来る理由が無い。


 挨拶をしないのは執行人として、なれ合いを避けているのではなく、手短に用事を済ませる為。
 自分が呼ばれたのも、属性力(エレメーラ)の回収が捗っていない現状を見て、仕切っているお前の気が抜けているのだ……そう叱責する為であろう。

 クラーケギルディはそう考えていた。


(火のない所に煙は立たぬとも言うが……その火種が必ずしも大火へと表情を変える訳ではない……いや、もしもの為だ、見縊るのはやめておこう)


 やがて一つの扉の前に着く。

 力を溜め、クラーケギルディは戸の向こうへ届く様、高々に声を上げた。


「クラーケギルディです! 御呼びでしょうか、ダークグラスパー様!」
『うむ、入れ。許可する』
「はっ!」


 部屋からは扉越しもある所為か、性別の分かりにくい声が聞こえ、一体そのような容姿なのかと疑問に思いながら、彼は開いた扉をくぐる。

 そして……恰も由緒正しき聖堂に足を踏み入れたかのような、何ともいえぬ圧倒的な“何か”に震えを覚えた。
 真正面にはダークグラスパーと思わしき者が、ノートパソコンを開いたまま鎮座しており
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