二度目の急展開
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「……取りあえず登校はするか……」
何時も通りな行動をとる事だった。
朝食に支度を済ませ、鞄に荷物を積めて玄関へ向かい、無言で玄関から出て通学する傍ら、ラースもまた一言も発さず悩んでいた。
(『喉まで出かかってんだけどナァ……思い出せねー事……』)
その内容は瀧馬とは違い、それなりに真剣なものである。
以前瀧間へ向けて語った、どうにも引っ掛かっている事があると言う一文、それに対して何とかその引っ掛かっている事を思い出すべく、(物理的に無い)頭を捻っているようだ。
(『あの柿色腕野郎の事だってノハ、まだ出てくるんダガ……でもあいつふっ飛ばしたしナァ……ヤ、でもソコがどうニモ……』)
柿色腕野郎……要するにあのコンテスト会場で出会った、腕が異常に発達した単純感情種のエレメリアンの事について、どうにも腑に落ちない事がある模様。
しかしながら、腕一本残して消し飛ばしたのは、瀧馬及びグラトニーの中に居るラースも勿論目にしており、気配も消えているので疑いようのない事実である事は確か。
それでも尚引っ掛かるのは、クラーケギルディの言葉がある為だろう。
彼は自分のライバルをグラトニーに食われたと思っていた。
そして現にリヴァイアギルディは消え去っており、幹部クラスという実力から考えて、此方の仕業だと勘違いされるほどに鮮やか、且つ素早い手際で始末するなら、それは単純感情種で無ければ起こし得ない。
だとしても、話を総合するならその“主”がいるのはアルティメギル基地の真っ只中。此方にまで手をよこすのは幾らなんでも欲が張り過ぎる。
……が、ならばそれに気をつければいいだけで、悩む事など無い。
(『なーんか……嫌な予感すんだよナァ。“そいつ” 関連でも腕の奴関連デモ』)
何故にここまで、記憶がハッキリしないのか。
これに関しては、恐らく出来かけの体の中に居る所為で、一部一部の機能が正常に働かないのだろうと、ラースは当たりを着けていた。
これまでは “奴” に関する事も、大事なことも覚えているのだし、別にどうでも良いと放っておいたが、ここにきて大きな淀みとなり、ラースは少し後悔している。
(『腕の奴は消え去ッタ、相棒の一撃デナ。腕が残ったノモ、千切れ掛けでぶっ飛んだからダシ、可笑しい処なんか存在しねぇ筈ダガ……』)
不意に身体の中から、自由に利く感覚のうちの“目線”を動かし、前を向く瀧馬に逆らって自分だけ上を見る。
いっそ清々しい、憎々しいほどに晴れている、そんな青空が広がっていた。
雲一つない快晴は、未だ悶々と悩むラースの心情と正反対で、正に趣を異にしている景色だった。
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