二度目の急展開
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耗して消え去る事もありうる恐ろしい技である。
……勿論弱点もあり、彼女が判断した中での苦痛や楽園を与えるだけなので、苦痛なら兎も角楽園には齟齬が出る可能性があると言う事だが、とある “能力” によりソレは滅多にないと言っていい。
「ふっ……妾の神眼鏡でも見ぬけんとは大した奴だ……じゃが、無限に広がりし闇もまた終わらぬ恐慌を齎す。主の負けは決まっておったのだ」
―――それが今しがた口にした、何ともまあかなり微妙なネーミングの力なのだが、しかし今までこの技を完ぺきに決める事は出来ていたようで、実力も合わせて中々侮れないだろう。
戦闘力という面では劣っていたダークグラスパーだが、特殊能力と言う点では彼女の方に分があったらしい。
先の戦いと同じく、しかし先の戦いとは逆の展開で、アッサリと決着がついてしまった。
「ふむ……しかしそうなると、この基地で行方知れずとなった数体に、注意せよと言われていたファンリルギルディ、そしてリヴァイアギルディが消え失せたのも、彼奴の仕業で会ったか……蓋を開けてみれば、簡単であれど尚ややこしい事よ」
彼女はマントを翻すと正体不明の侵入者が消えた場所へ背を向け、未だ起動中でスリープモードへとはいっている、奇跡的にも壊されていなかったノートパソコンへ歩み寄る。
変身を解く間も惜しいと、そのまま画面を覗き込んだ。
「ふふふ……これでやっと続きが出来る…… “あの人” のような女となる為にも、勉強しなくては」
やたら破廉恥な勉強があったものだと、呆れの目で見られても仕方のない事を言いながら、この後待ちうけるクラーケギルディ部隊への情報伝達も忘れ、エロゲーに没頭し始めるのだった。
「Ak, mu???gi」
否、没頭し始める『筈』だった。
小さく、本当に小さく、気のせいかと思うほどの音量で、何者かのつぶやきが聞こえ、ほんの一瞬何も無い空間が揺らぐ。
だが空耳だと思う間もなく、変化は唐突に訪れ始める。
「な、なんじゃ!? 炎が、細長く立ち昇って……!?」
もう目にすることなどあり得ない筈の『ガーネット色』の炎が細く、そして長く、盾に数センチほど広がると―――そこからは瞬く間だった。
亀裂が広がり、空間が燃やされ、炎で形作られた指が這い出し、跳びだした片碗が宙を泳ぐと、空間の淵に手を掛ける。
目を塞ぐほどの風圧と熱気が顔を焼き、ダークグラスパーは思わず顔ごと目線をそらす。
木材を焼く音と、ガラスが割れる音が同時に聞こえ……刹那、何にも属さない奇奇怪怪な効果音が、大音量で部屋に轟く。
声を上げる暇もなく驚愕が次々押し寄せ、
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