二度目の急展開
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ニャリと手を覆う感触を受けたら瞬時に硬化させ、形を持った風を武器に殴る、それこそが『風撃颯』なのである。
少々ながらも此処まで複雑となると、やはりそう簡単にポンポンとは出せず、未だ特訓による慣れやら改良の余地がありそうだと、当然と言えば当然か瀧馬もラースも考えてはいる。
『やっぱ本人のレベルアップが一番の早道ダナ。慣れりャア、その工程だって一瞬で出来るようになるダロ』
「……レベルアップといってもなぁ」
『さっきも言ったが能力運用の効率化、そんでまだまだ未熟だから本人の格闘スキルもダナ。とにかくやれる事だってまだまだ有ルゼ? 相棒は駆け出しなンダ、能力が上手く使えなくたって仕方のない事だッテ』
「まあ、結局は特訓なんだよな……」
瀧馬は考え、これまでの修行内容を思い返していた。
特訓してもグラトニーの性格故なのか、空手にボクシングにムエタイ、中国拳法に果てはカポエイラなど様々な格闘技に手をつけてみたものの、実の所格闘戦については余り進展が無い。
……まあそもそも、動作が分かりやすい種類ならまだしも、中国拳法は型や流派も多いうえに覚える事も多く、思考が半分ほど食欲に占められ単純化しかけているグラトニーには、練習しようとも到底向かないであろうが。
それでも、空気を取り込み放出する力なら、此度の事からも分かるように、着実に一段一段上って行っており、続けていけば更なるレベルアップも期待できるだろう。
要は能力の範囲内で出来る事を増やし、出来ない事を無理にやろうとしなければ良いのだ。
また、一人ならば自身の欠点や歪みに気がつかなくとも、指南役としてラースもいるのだし一人ではないので、そういった別視点からも意見を取り入れる事が出来る。
「決まったなら善は急げだ、明日から早速練習に入るぞ」
『りょーカイ、俺も俺なりにサポートさせてもらウゼ……そんジャ、今日はこの辺で終りにすッカ。飯にシナ、相棒』
特訓内容も上がり、今日の戦闘の反省はそこで終わり……
「いや、ちょっと待ってくれ。まだ言いたい事がある」
『ンオ? そうか?』
ではどうもないらしく、瀧馬は一旦ラースに会話を続ける事のみ伝えて立ち上がる。
棚からマグカップを手に取ると、塗装がはげた赤いコーヒーメーカーからコーヒーを注ぎ、反対側の戸棚からクッキーを取り出して乱雑に盛り付け、再びソファーへと深く腰掛けた。
そして、一口啜ってから、改めて切りだす。
「テイルイエローの事だ」
『アア……今日、初陣且つ役立たずだった奴カ』
「……」
歯に衣着せぬハッキリし過ぎた物言いではあったが、事実ではあるし実際瀧馬もそう思わない部分が無い訳ではなかったので、一
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