怨讐深化
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の初めての行動に、思わず足を止める。
(何も起きない?)
だが、しばらくしても何も起きず、デイドラは内心で首を傾げるも、目の前のキラーアントは体液を滴らせながら不気味にじっとしていることが、デイドラの心に形を成さない恐怖を生じさせ、足を拘束していた。
(いや、何かが起きている)
そんな時、デイドラの第六感が何かを捉えた。
何の根拠もなかったが、自分を囲むように何かがこの場所に集まって来ているように感じた。
デイドラはその感覚に従い通路に目を向けた。
「なっ………………」
そして、デイドラは絶句した。
彼の目に映ったのは、キラーアント。
四方の壁にあるそれぞれの入口から二体、すなわち合計で八体のキラーアントが現れたのだ。
その光景にデイドラは戦慄を禁じ得なかった。
『どうした、デイドラ?まさか恐れをなしたわけではないだろうな』
そのデイドラは、計ったように、聞き覚えのある声を聞いた。
(お、恐れてなどいない!)
恐怖に屈してしまいそうなっていた心を奮い立たせるように言った。
『ならば戦え。お前の目の前にいるのはただの復讐対象であろう?』
(そうだ。ただの復讐対象だ)
頭の中に響く声に、そして自分に言い聞かせるように答えた。
『死に対する恐怖は邪魔なだけだ。平穏にも恐怖にも別れを告げろ。モンスターを殺戮する人形となれ。さすれば、貴様は絶対的な力を得られよう』
(絶対的な力…………)
『さあ、周りを見ろ。あれらは何だ?』
(復讐対象)
『そうだ。殺戮せよ。そして、生き残って復讐を遂げるのだ』
と、言い残し頭の中の声の主は靄に沈んで気配を霧散させた。
それを確認して、デイドラは前方のキラーアントに色のない瞳を向ける。
短刀を握る手に力を込め、一歩踏み出す。
(殲滅するのみ)
◆
ノエルの前を忠実なる下僕となった冒険者三人が走っている。
場所は七階層。
通路には一定間隔でモンスターの死骸が打ち捨てられていた。
下僕三人によると、死骸は標のように続いていたが、途中でバックパックがいっぱいになり、引き換えしたそうで、ノエルはその場所まで案内するよう命令を下したのだ。
そして、その場所に死骸を見付け、標を追って七階層に降り立ってたのだ。
(早く見付けなければ)
ノエルはこのことでより一層に焦躁に駆られていた。
デイドラは七階層まで下りたことがなく、それだけでも危険であるにも拘わらず、七階層は『初心者殺し』が出現する階層であるのだ。
このことにノエルは気が気ではなかった。
――そのため、ノエルはリズ
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