sts 18 「私の大切な……」
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突然聞こえた声に驚きながら視線をドアの方へ向けると、呆れた顔を浮かべたショウくんが立っていた。明かりがどうのと言ったのに彼は何もせずに私の方へ近づいてくる。あえて点けていないと思ったのだろうか……ってそんなことを考えとる場合やない。
「ちょっ、何勝手に入ってきとるんや。しし知らん仲ではないとはいえ、一応私部隊長やで。そういうのは良くないと思うんやけど!?」
「あのな、だったら返事くらいしろよ。中に気配があるのに何度呼んでも返事がないと心配になるだろ」
どうやらアルバムに夢中というか、ショウくんのことを考えすぎて聞こえてなかったらしい。
よ、よかったぁ……シグナム達やったら必要以上に心配されとったやろうし、グリフィスくん達やったら部隊長としての威厳に関わるところやった。別に威張るつもりはないけど、少なからずちゃんとした部隊長としての姿は見せときたい。そうやないと外野から余計なこと言われる機会が増えそうやし。
そんなことを思った直後、ショウくんが目の前に迫っていた。ふとアルバムに目を落とすと、そこには中学3年生の時に一緒に撮った写真があった。
それは昔のものと違って引っ付いていたり、手を繋いだりしていない。距離感で言えば、少しばかり離れているとも言える。
でもそれは私とショウくんが異性としての意識を強めた証でもある。普段の状態で見られても問題はないけど、今見られると間違いなく私はボロを出しそうだ。そのため慌ててアルバムを閉じた。
「何を見てるかと思ったらアルバムか。まだ昔を懐かしむ歳でもないだろうに」
「それはそうやけど、今日アリサちゃん達のことが話題に出たからな。会いたいって気持ちが出てもおかしくないやろ?」
「まあそうだな」
ショウくんは窓へ近づいていく。私は人知れず安堵の息を漏らし、アルバムを引き出しの中に仕舞おうとした。直後、彼の口から静かに言葉が出る。
「お前……無理してないよな?」
その言葉に私は一瞬動きを止める。無理や無茶といった言葉は周囲からよく出る言葉ではあるが、今の無理には普段とは別の意味合いがあるように思えたからだ。まるで私の中にある覚悟を見透かしているような……そんな意味合いが。
「いきなりどうしたんや。というか、ここに居ってええんか? あの子が待っとるんやないの?」
「あの子が1番懐いているのはなのはだ。なのはが居れば大丈夫だろう。仮に大丈夫じゃなかったとしても……お前かあの子かと言われたら迷わずお前を選ぶさ」
さらりとそういうことは言うもんやないで。まあ10年以上の付き合いがあるのに、あの子を選ばれるとそれはそれで癪ではあるけど。
「あとで泣かれてもしらへんからな……質問の答えやけど、別に無理しとるつもりはないよ。毎日大変ではあるけど充実しと
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