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ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐
第2章 夜霧のラプソディ  2022/11
15話 虚像と齟齬
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なんて出せるわけがないだろう。俺はともかくとして、アルゴの事まで含んでいるなら………、アルゴの苦悩を貶める意図で言ったのならば、俺は今の発言を看過できない」
「………!?」


 感情が昂って勢いで出てしまったにせよ、超えてはならない一線というものがある。アルゴは面白半分で今回の特殊クエストの調査に乗り出しているわけではない。アルゴは攻略本創刊当初から、新規プレイヤーの助けとなるべく心血を注いできた。危険を顧みず、持てる情報を開示し続けてきた。それ故に、プレイヤーの死に最も多く心を痛めている人物だと俺は思っている。身近な死で心を痛めているのは承知の上だが、俺にも譲れないものがある。


「アルゴは、そのリーダーが死んだのは自分の作った攻略本の不備の所為だと言っていた。ヤツは、自分の攻略本を信頼してくれていたプレイヤーを最悪の形で裏切ってしまった事を悔いている」
「……………」
「でもな、その不備を訂正しない限り、また犠牲者が出るかも知れない。それだけは何としてでも回避したい。友人の名誉を挽回するためだけに、俺はここへ来た」


 下手な同情など、持ち合わせてはいない。彼女達のリーダーの死を悼むのは、少なくとも俺の役目ではないだろう。だが、この一件が解明されることで彼女達の一助となれるならば、その点では力になれるかも知れない。しかし、無理強いをしてまで聞き出す権利は俺にはない。俺自身の考えとスタンスは伝えた。あとは相手方次第か。


「………ボク達、本当は《召集》スキルについて知っていたんだ」
「…………知っていただと?」


 話してくれる気になった彼女の心情の変化はこの際問わないでおこう。だが、あまりにも予想外な発言に言葉を失う。俄には信じ難い話だ。アルゴから聞いた話では《召集》スキルは攻略本に記載されていなかったイレギュラーだと聞いている。当然、ベータテストの頃でさえもそんなスキルは無かった。だが、レイは間違いなく『知っていた』と言ったのだ。どちらかが虚言を騙っている事になるのだろうが、この状況でそんな事に意味があるだろうか。だが、例の如く仕様変更の可能性も捨てきれない。話を最後まで聞かねば事の判断もつかない。


「知っていたって事は、誰かから聞いたのか?」
「………ボク達より先にエルフと戦ったって人から。その人はソロだったみたいで、大勢のエルフに囲まれたから逃げてきたって………」


 レイ達が初の被害者じゃなかったのか。しかし、それならどうしてアルゴのアンテナに引っ掛からなかったのかが疑問となる。いや、それについてあれこれ考え込んでも答えは出まい。


「そのソロプレイヤー、誰なんだ?」
「……………知らない。森に狩りに行こうとした時にボク達を呼び止めて、その事を教えてくれたらすぐにいなく
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