第2章 夜霧のラプソディ 2022/11
15話 虚像と齟齬
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すると、間もなくして開かれた扉から小柄な少女がおずおずと姿を現した。あまり似合わなかった壁型の金属鎧は外して、代わりにシャツとハーフパンツという部屋着の出で立ちだ。
「……………あ、貴方は………」
「こんにちは。少しだけ、話を聞かせて貰っていいか?」
僅かな逡巡の末、俺は奥に通される事となる。リビングには緑髪の少女だけがソファに座っていて、アルゴに対峙した長身の少女は席を外しているようだったが、話を聞く上では差し支えないだろう。
「突然お邪魔して悪いな。下で買った菓子だけど、良かったら食ってくれ」
「なんか、気を使ってくれちゃったみたいでゴメンね?」
緑髪の少女が申し訳なさそうに笑うのを見ながら、軽く自己紹介――――救出時のヒヨリの発言で実名が知られていた――――を済ませつつ、話を始めさせてもらう事とする。
「で、どうしたのかな?」
「幾つか聞きたいことがある。多分、辛いことを思い出させるかもしれないけど、話してくれると助かる」
「………聞きたいのって、リーダーが死んだときのこと?」
緑髪の少女――――《レイ》の言う《リーダー》とは、もしかしなくても彼女達のPTから出てしまった犠牲者の事だろう。PTリーダーとして彼女達をここまで引っ張ってきたのであれば、相当な女傑であったことが偲ばれる。だが、故人の為人を推測しても事は始まらない。一先ず首肯して、問いへの答えとする。
「アルゴさんに頼まれたんでしょ? 例の《召集》スキルについて、調べてくれって」
「調べているのは間違いないが、自主的にだ」
「………どうして?」
「納得出来ないからだ」
まるで障壁のような問いかけが向けられる。関係ない奴はどこかに行けとでも言いたげな、穏やかな語調に隠れた威圧。確かに、他人が土足で踏み込んで良いような領域ではないことくらいは重々承知しているつもりだ。恐らくは彼女達の手で今回の特殊スキルの謎を解明しようとしているのかも知れない。森で遭遇した事それ自体が原拠であるが、だとすれば、尚のこと俺に話を打ち明けてくれるとも思えない。だが、諦めるわけにもいかない。
「……………キミは、ただ《気になってる》ってだけで調べようとしてるだけなんでしょ………迷惑なんだよ! そういう風に、遊び半分で仲間の死に踏み込まれるのって! 探偵ごっこなら余所でやってよ!?」
「違う」
力無い呟きから、激情の籠る怒号へと変貌するレイの言葉を、否定する。
「だったら、何が違うっていうのさ!? そんなにボク達が面白いの!?」
「探偵ごっこなんて生温い理由で、他人の死に首を突っ込むほどガキじゃない。アルゴだってそうだ。ベータテスターが目の敵にされている中で、生半可な気持ちで攻略本
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