暁 〜小説投稿サイト〜
K's−戦姫に添う3人の戦士−
1〜2期/啓編
K8 立花家
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 目が覚めて一番に見たのは、真っ白な天井。
 体は清潔なシーツを敷いたベッドの上。窓から射し込む夕焼けが眩しい。

 ああ、わたし、知ってる。この感じ。2年前のライブでケガして入院することになってから、ずっと見てた景色で、感じてた手触り。

「響ちゃん! 気がついた? 気分は? 痛いとこない?」

 啓……だよね。あれ? 啓ってこんなに男っぽかったっけ。離れてる間に成長したのかな。

「へいき……へっちゃらだよ……」
「本当に?」
「うん」
「よかったぁ――」

 啓がわたしの手を取って強く握り締めて、その手をおでこに当てた。感触を確かめるみたいに。

「響ちゃんがずっと起きなくて、そのまま……死ん、じゃったらって、考えたら、ほんとどうしようって」
「もしかして、ずっと付いててくれたの?」
「ずっと、は無理だったけど、学校終わってからは、ばあちゃんと交替で付き添ってた」
「そっかぁ。なんか嬉しいかも」
「喜ぶなよっ。死ぬとこ、だったんだぞ」

 え? わっ、ちょちょちょ、啓!? どこ触ってんの!
 入院用のお仕着せじゃ隠しきれない胸の谷間の上にある傷口に、啓は指を添えてなぞったのだ。うっく、ちょっとくすぐったい。姉弟じゃなきゃセクハラだよ!?

「おれが響ちゃんのガングニールならよかったのに」

 ほんと――しょうがない弟。

 手を両手で取って、そっと傷跡から離させる。

「傷なんて誰でも持ってるものだから。後から付いたものだって、今の自分に残ってるものなら、きっと何かの意味がある。そう思うようになったんだ」

 すると啓は唐突にわたしを両腕で抱き締めた。ちょ、啓、くるしい、苦しいって……啓?

「泣いてるの――?」

 啓がやっと顔を上げた。虎みたいな鋭い両目には、涙がたくさん溜まってる。

「おれが…おれが響ちゃんの分も戦うから。未来ちゃんも守るし、ノイズも倒してみせるから…戦いなんてやめてくれ」

 啓はまたわたしを強く抱き締めた。ちょっと苦しいんだけど、まあ、今は大目に見てあげる。

「ごめんね……ありがとう。啓の気持ち、嬉しい。本当だよ? でもわたしも、大事なものは自分で守りたいんだ」

 背中を叩いてあげる。これやってあげるの、何年ぶりだろ?

「オトコが簡単に泣くんじゃないっ。わたしは平気。へっちゃらだから」

 3回くらい名前を呼んだとこで、啓はようやくわたしを離してくれた。







 書類の上では、わたしは交通事故に遭ったことにされてるって、啓が教えてくれた。ノイズ災害じゃなくてよかった。

 退院までは絶対安静の上、家族以外は面会謝絶ってことで。
 さすがに3日目ともなると退屈を持て余してきてる。啓がお見舞いに置
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ