5部分:第五章
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第五章
「何があっても」
そう思いはしたバーナムだった。彼は沈んだ中でそのことを思うのだった。彼の悩みは晴れず尽きない。その次の日彼はコロシアムの中にいた。
すり鉢状のその中にだった。また観客達が集まっていた。
上には青い空が見えている。それを上に置いて観客達の歓声が彼を包んでいた。
「バーナム、頑張れよ!」
「今日も頼むぞ!」
「猛獣殺し!」
それが彼の仇名になっているのだった。
「そこの若いのも頑張れよ!」
「死ぬんじゃないぞ!」
彼の横には彫りの深い顔の若者がいた。大柄で逞しい身体つきは如何にも剣闘士らしい。その彼がバーナムを一瞥して言ってきたのだった。
「あんたがバーナムさんだよな」
「そうだ」
その己と同じ金髪碧眼の若者に対して答えた。
「俺がバーナムだ」
「俺はステンシウスっていうんだ」
自分から名乗ってきた。名前はギリシア風であった。
「覚えておいてくれよ」
「ステンシウスか」
「あんたの次のチャンピオンさ」
自信に満ちた笑みと共に出した言葉だった。
「それがこのステンシウス様さ」
「そうか」
「さあ、その新しいチャンピオンの最初の相手は」
ここで前を見る。そこには門があった。今まさに相手が出されようとしている。
「豹だったな」
「強いぞ」
バーナムは彼に静かに告げた。今彼は得意の獲物の斧を持ってはいなかった。右手に大きめの刀を持ち左手には楯ではなくネットを持っている。そして簡単な鎧を着けている。
そのステンシウスは両手に巨大な斧を持っている。バーナムはその斧を見て告げた。
「豹相手にその斧はだ」
「何だっていうんだい?」
「危険だ」
危ないというのである。
「あまりにもだ。危ない」
「危ないっていうのかよ」
「豹は素早い」
この当たり前のことを話したのだった。
「獣の中で特にだ」
「けれど所詮は獣だろ」
こう言って特に何とも思っていないのを見せるステンシウスだった。
「どうということはないさ」
「勝てるのだな」
「楽勝でな」
こう余裕に満ちた笑みさえ見せて応えてきた。
「勝ってやるさ。俺の華々しいデビューにな」
「ではだ」
それを聞いてまた述べたバーナムだった。
「生き残ることだ」
「生き残るっていうのかよ」
「豹は二匹だ」
数も教えた。
「一匹ずつだ」
「それも頭に入れておけっていうのか?」
「そうだ。一匹は俺が倒す」
このことをはっきりと言うのである。
「そしてもう一匹は御前だ」
「両方共倒してやるさ」
それを聞いても勝気なのを変えない彼だった。
「まああんたはそこで見ているだけでいいさ」
「そうか」
これ以上は言わない彼だった。やがて歓声と共に前の門が開かれる。そうしてそ
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