四話:剣士と日常
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「君は人体錬成にでも失敗したのか」
「いや、お前に斬られた廃車の気持ちを代弁してみただけだ」
俺とミカヤは今、廃車場に来ていた。ミカヤの行くところについて行ってみた結果がこれだ。
哀れな廃車達が無残にも半身を持っていかれている様を永遠と見続けるはめになったのだ。
最初の頃は俺も興奮していたが次第に飽きて来て今では廃車にアフレコをして作業員のおじさん達を笑わしている。
おじさん達との親交が深まっていくのも偶にはいいもんだ。
「私を倒してもいずれ第二第三の廃車が現れるだろう……」
「頼んでいるのは私だけどね」
「帰るんだ……妻と息子が待つあの場所へ……」
「やめてくれ、罪悪感が湧いてくる」
「パパの仇をとるんだぁぁあああっ!」
「物語を形成しないでくれないかな」
律儀にも俺のセリフに一つ一つ反応しながら廃車を切り裂き続けていくミカヤ。
本当はこんなにも斬らないらしいがおじさん達が悪乗りしてどんどんミカヤに廃車を投げつけていく。
まあ、全部切り裂いているから問題はないけどな。
「ふぅ……全く君といると調子が狂わされる。だから、嫌いなんだ」
「ドリンク渡しただけでそこまで言われるのは流石に予想外だな」
「私は、君みたいな図々しくて能天気で馴れ馴れしい奴が大っ嫌いだ!」
「ただのツンデレ発言だよな、それ」
軽く談笑しながらミカヤにスポーツドリンクとタオルを渡す。
初めてあったのはヴィクターの紹介であの頃は礼儀正しかったんだがもう遠慮がない。
きっと仲良くなれた証拠なんだと前向きにとらえるようにする。そうじゃないとやっていけない。
「さて、俺は帰るとするか」
「せっかくだからお茶でもしないか。付き合って貰ったお礼さ」
「うーん、悪いがパス。今から買い出ししないとジークが来たときに俺の食う物が無くなる」
来るたびに冷蔵庫中身が消えるから食費も馬鹿にならない。
まあ、ヴィクターから援助してもらっているから大丈夫なんだがな。
すると、なぜか信じられない物を見るような目で見つめられる。
「……君の事だからお腹を空かせたジークの目の前でこれ見よがしに食べるものだと思っていたよ」
「お前の中の俺ってどうなっているんだ?」
「この世全ての悪」
「おっぱい剣士のこと、どんだけ恨んでいるの、お前」
この日二度目の『今宵の晴嵐は血に飢えている……(キリッ)』が発動したのはそのすぐ後だった。
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