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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第149話 冥琳洛陽入京
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ける正宗。つい比較してしまうのは人の性というものだ。特に側にいる董卓陣営への怒りと不満が溜まっていれば、尚更に正宗が輝いていて見えるのは無理からぬものである。正宗も善意で劉表を見逃すわけでなく、利があるこそ劉表を見逃すのである。そのことを冥琳が敢えて口にすることは無かった。

「夫も劉荊州牧も同じ劉氏。祖先を遠く辿れば同じ高祖に行き着きます。同じ劉氏同士。漢室の繁栄のために力を合わせるのは当然のこと。『劉荊州牧の預かり知らない場所で起こった問題であればどうにかしたい』と夫は申しておりました」
「うむ。昨今は乱が頻発して民達の生活に暗い影を落としている。劉車騎将軍と劉荊州牧には力を合わせ皇帝陛下をお支えしていただきたいと思っている」

 王允は神妙な面持ちで冥琳に本音を言った。王允が劉表を擁護していたのは混沌とした世間を憂う彼女の忸怩たる想いから発したものなのだろう。

「今回の件で劉荊州牧は夫を恨むやもしれません」

 冥琳は憂いを帯びた表情で王允に言った。

「可能性は無いとはいえない。いや恨むであろう。しかし、この私が及ばずながら劉荊州牧に劉車騎将軍の真意を伝えるつもりだ。可能であれば劉車騎将軍に一度会うようにも説得しよう」

 王允は冥琳に正宗の劉表の間がこじれないように尽力することを約束した。冥琳は王允の言葉に感動したように彼女に礼を述べた。



「ところで蔡徳珪討伐のための軍はいかがするつもりなのだ?」
「現在、荊州に引き連れた兵は三千。蔡徳珪殿は荊州の大豪族で、私兵も多く抱えているため三千では心もとないです。そこで蔡徳珪殿を討伐するために必要な兵は冀州より呼び寄せるつもりでいます」

 冥琳の説明を王允は思案気な表情で黙って聞いていた。

「確かに三千では心もとないであろう。冀州より呼び寄せる兵はどの程度なのだ?」
「先発隊騎兵三万。本隊五万。計八万の兵を動員いたします」
「八万!? 些か過剰兵力ではないか?」

 正宗が動員する兵数に王允は驚愕した表情に変わり懸念を述べた。

「大軍であるからこそ良いのです。戦の勝敗は数です。戦う気勢を削ぐために敢えて八万の兵を動員いたします。大軍に恐れをなし蔡徳珪殿の軍が四散すれば無駄な犠牲がそれだけ減ります」

 王允は冥琳の説明を頷きながら聞いていた。

「劉車騎将軍は戦を望んでおりません。狙うのは蔡徳珪殿の首。蔡徳珪殿に味方する兵が減れば、蔡徳珪殿も大人しく縛につく可能性もございます。全ては早期にこの件を幕引きしたいという夫の願いでもあります。蔡徳珪殿を朝敵として処刑した後は兵は全員冀州に帰還させる所存です」
「劉車騎将軍はまことに慈悲深いお方のようだ。それに引き換え董少府はなんと小賢しいことか。礼儀も弁えぬ賈尚書令を身辺にはべらし、恐
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