第149話 冥琳洛陽入京
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々荊州の大豪族でございました。それが劉荊州牧と通婚することにより権勢は飛ぶ鳥を落とす勢い。蔡一族を快く思わない豪族を卑劣な手段で暗殺し、恐怖で荊州を支配しております。挙句は自らの凶行に周囲が黙っているのは蔡一族の権勢故と勘違いしております。周囲が支配に甘んじる理由は劉荊州牧、ひいては朝廷の権威による後ろ盾であるということを忘れております。そのような奸臣を荊州にのさばらせて天下のためになりましょうか?」
冥琳は王允に流麗な口舌を述べた。王允は冥琳から詳細な蔡瑁の悪行を聞きおぞましい話を聞かされたという表情をしていた。
「蔡徳珪はそのような危険な女なのか。ああ。世も末だ。劉車騎将軍を殺そうなどと浅慮な行いをするのも頷ける。しかし、朝敵として蔡徳珪を討伐すれば、劉荊州牧にも逆賊の縁者の汚名を負い荊州牧の官職の解官は避けられぬではないか?」
「全ての罪は蔡徳珪殿と、それに加担した者達に負ってもらいます。蔡徳珪殿は劉荊州牧に隠し朝廷への内部蜂起を画策していた。夫がそう朝廷へ奏上し、劉荊州牧の濡れ衣を晴らす嘆願を行うことをお約束いたします」
冥琳の説明を聞いた王允は安堵していた。
「劉車騎将軍は徳高き御仁と聞いていた。噂は真のようであった様だな」
王允は冥琳に微笑んで言った。
「夫は無益な殺生を好まないだけでございます」
「その心構えこそ徳高き証。今回の一件で朝廷の権威に陰りが見えたかのように心配したが、劉車騎将軍のような御仁がおられれば我ら百官も安心して皇帝陛下をお支えできる」
王允は劉表を見逃した正宗の度量に感服している様子だった。
「蔡徳珪の一族には粛清者が多く出るでしょうが、これが最小の犠牲に抑える道になるでしょう」
「仕方あるまい。二度も劉車騎将軍の命を狙ったとあれば蔡徳珪は死罪しかない。その一族も本来は族滅。劉車騎将軍に投降すれば助命の道もある。これほど寛大な処置はない」
王允は憂いた表情で言った。蔡瑁には同情しないだろうが、今後蔡瑁に加担して正宗と相対した者達だけでなく、その家族にも類が及ぶことが想像できる。彼女はそのことを想像して心痛な気持ちなのだろう。
冥琳も王允に合わせ気落ちしている様子をしていた。
「そなたが気負う必要はない。これは蔡徳珪なる愚か者が招いたことだ。劉車騎将軍は二度も殺されかけたと言っていた。劉車騎将軍は一度は劉荊州牧の身を案じて行動を自重されたのであろう。そのような徳高き御仁を亡き者にするなど天は黙っていまい。劉車騎将軍が二度も難を逃れることが出来たは皇帝陛下への忠節を天が見届けていたのだろう」
王允の中で正宗は朝廷の守護者として写っているのかもしれない。朝廷内で武力を背景に強引に権力掌握を進める董卓陣営と自分を殺そうとした人物の関係者に情けをか
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