2期/ヨハン編
K9 武装集団の交渉人
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と…ええっと…」
「ヨハン。ヨハン・K・オスティナ」
「ヨハン…さんは、今日は単に学祭に遊びに来た…んですか?」
「うん。僕らだって人間。休息も娯楽も欲しくなるよ。この敷地で戦うつもりはなかったし、今後一切、ここを戦場にする意思もない」
「本当か」
「本心です。月と太陽に誓ったっていい」
翼の睨みが敵意から懐疑に変わる。
「キミたちの目からは僕らは悪人でしょう。僕らの理想を分かれとは言いません。ただ、ミス・ガングニールと同じで」
響はキョトンと自分を指差す。
「僕らだって弱い立場の人たちを助けたいと願っています。すぐそこまで来ている――」
ヨハンは調と切歌の肩にそれぞれ手を回した。仰ぐ天には昼の白い月。
「大きな災厄から」
改めて日本側の装者たちを見つめ返した。
「そういうわけだから、今日はこの辺で解放してくれませんか?」
「……誠意は理解したがそれはできない。お前たちには聞きたいことが山ほどある」
「あたしたちは今ここで戦いたくないだけ……そうデス、決闘デス! 然るべき決闘を申し込むのデス!」
「どうして!? 会えば戦わなくちゃいけないってわけでもないでしょう?」
「どっちなんだ!?」「どっちなんデス!?」
う、と切歌とクリスが気まずげに互いを見合い、顔を逸らした。
「決闘の日時はこちらが告げる。だから」
調がヨハンと切歌の手を取り、翼の横を通り過ぎて歩き出した。
驚いた。調は普段、ヨハンや切歌にリードされる側なのに、今日は積極的。
学院の正門を潜ってしばらく行ってから、調の歩みは徐々に遅くなり、完全に立ち止まった。
「――よく頑張ってくれたね」
ヨハンは調から手を離し、その手で調の頭を自身の胸板に引き寄せた。
さぞ緊張しただろう、さぞ怖かっただろう。装者といえど、調は彼らの中で最年少の、か弱い乙女なのだから。
「さあ。帰ろう。マリアたちが心配だ」
調は無言で肯いた。
今度はヨハンのほうから調と切歌に両手を差し出した。彼女たちは素直にヨハンの手を片方ずつ握った。
ヨハンたちは再び、アジトに帰るために歩き出した。
合流地点は、かつてのリディアン音楽院があった土地。“ルナ・アタック”を引き起こした、月のカケラの落下をもたらした神代の兵器、カ・ディンギル跡地だった。
待っていると、光学迷彩を解いたエアキャリアが着陸し、マリアが降りてきた。
「「マリアっ」」
調も切歌も岩陰から飛び出し、マリアに抱きついた。
「よかった。マリアの中の“フィーネ”が覚醒したら、もう会えなくなってしまうから」
「フィーネの器となっても、私は私。
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